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(C)2003
Somekawa & vafirs

金沢 BAR <主のひとり言>

我が家の猫さま・U

過去にも書いたが我が家の道路向かいの、ほとんど流れていない用水に落っこちたのか、それともだれかが置いたのか、ともかく泣き叫んでいた子猫を拾った。というか、助けた。
どう見てもまだ生まれて間もない様子、わざわざ助けておいてまたどこえやらへ捨てるわけにもいかず、結局飼ってしまった。

片方の手のひらにちょこんと収まるほど小さい。
おそらく生まれてまだ一カ月も経ってはいないだろう。
先にも書いたが水の流れていない幅二メートル、深さ一メートルほど。
その底に落ちていたわけだが、親猫が誤って落としたとしたら、咥えて連れ帰れるはずであり、想像するにだれかが用水に置いた(捨てた)のでは?と思っている。
仮にちょっとした空き地などに置いたとすると、カラスに襲われるかもしれない。
明らかに住宅街だと誰かが拾ってくれる、と思ったのだろう、と推測している。
やむなき事情により捨てざるを得なかったのだろう。

まずは体重を量ってみる事にした。
もちろん人用の体重計では測れない。
そこでキッチンにあるボールに入れ料理用ハカリに乗せると針は360グラムを指した。
次は性別だ。
裏返し股の辺りを観てみる。
かすかにタマタマらしきものが確認できたのでオス、とわかった。
文様はというと日本猫のもっとも一般的な、ある意味純粋なキジトラである。
仮にキジトラとして血統書があるとすると、まぎれもなく血統書がつく事であろう。
たまに雑誌等で「我が家の愛猫」として載ったとしても描種としてキジトラとは載らない、ただの「ネコ」となる。
ちょっと残念ではあるが「雑種」として扱われていない分だけ、良しとする事にしよう。

さてそのネコであるが、今や五年目に入り、360グラムが五キロを越してしまい、4歳猫としてりっぱな我が家の一員となった。
よく犬と比較される。犬は三日飼えば三年はその恩を忘れない。
ネコは三年も飼うと、やっと三日ほどは覚えている、とのこと。
なるほどと思わざるを得ない。
我が嫁さんに一番懐いているが、その嫁さんが出かけると、もうなんの未練もないようである。
内にいる誰かに「ニャ〜」となる。

朝起きると、飯くれ〜「ニャ〜」となり、キャットフードにマグロの猫缶をまぜ、はいどうぞ。
しばらくして、オヤツくれ〜「ニャ〜」。ネコ用カニカマを与える。
食べ終えると、おもむろに定位置に置いてある「ネコ砂」へ行き、ガサゴソとやり、おしっこタイムである。
こころなしかすっきりした様子で「後は頼んだぞ」と言わんばかりにすたすたとその場を離れる。
我ら人間はその処理をいそいそとやる。
終わった頃こんどは玄関の方を向き「ニャ〜」。
これは散歩ではないが日に何回かは、道路に面した垣根へリードを付けてつないでおく。
我が家の場合放し飼いにはしない。
そこで道行く人や車を眺めたり、また木陰で昼寝をしたり、たまに通りすがりの人から、頭をナデナデしてもらったりしている。
いつしか「ニャ〜」という声がすると家に入れろ、の合図である。
入るとまたネコ砂をゴソゴソ、今度はウンチタイムだ。
おしっこの時は涼やかな顔だが、ウンチの場合、グンと厳しい顔で頑張る。
確かにカタイ。
コロコロなだけにお尻に匂いが付いたりしないのであろう。
上手く出来ているものだ。

出すものを出すと腹がスカスカとなるのか、また「ニャ〜」となり二回目の御飯となる。
今度は猫缶ではなく、ネコ用(出しジャコ入りカツオ節)をキャットフードにふりかけて与える。
そしてまたしばらくすると「オヤツタイム」になるのであるが、これまた当然一回目と違ったものを与える。

さて我が家のネコの一日であるが、食事、おやつ、おしっこ、それに木陰での昼寝それぞれ三回ずつ、ウンチ一日二回、あとは合間に遊んでやる。
嫁さんなど部屋の中を掛けっこしたり、かくれんぼしたりと、まあ忙しい。
僕はと言えば全身をクネクネとくすぐってやる程度、いやがりながらも結構喜んでいるようである。

という事で、日々我が家に住みついたネコと暮らしているが、ふと思う。
よくよく考えると一方的にネコの世話をしているわけであるが、等のネコはというと、一切何も考えていない。
これは間違いない。
犬はボールを投げると喜んで取りに行き、咥えて持ってかえる。
ネコも部屋で小さい玉を幾つも投げると喜んだりするが、持ってかえることなど絶対にない。
しょうがないので投げた本人がイソイソと幾つものボールを拾い集めるのである。

かくして我々人間はネコに「餌をやる」などととんでもない事を思ってはいけない、食事の世話をさせていただく。
遊ばしているではなく、遊んで頂く。
少しでも何かを期待してはいけない。のである。

いまこの時、「われ猫」の事を書いている事など知る由もなく、窓辺でグタ〜、ダラ〜とおなかを見せ昼寝中である。
その姿、その寝顔が実に可愛いのである。

<主のひとり言>  毎・月半ば更新いたします。