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(C)2003
Somekawa & vafirs

金沢 BAR <主のひとり言>

足湯と総湯

先日暇な日曜日。
久しぶりに小松は「那谷寺」へ一人で行ってきた。

通称「苔寺」と言われ、その名の通り、苔に覆われた長い参道を歩いていると、何やら身もこころも、引き締まりながらも安らかな気分になる。
本殿へ着くと、今度は迫力のある「奇岩」がある。
というより「奇岩の中に本殿がある」といっても言い過ぎではないだろう。
行った事もない人、当然たくさんおられるだろうが、一見の価値あり、お勧めです。(まずはネットで)

さて、今回は寺巡りの事を書こうとしているのではない。
以前にも書いた事があるが、僕は風呂嫌いである。
一生入らなくて済むものならそれに越した事はない、と思っている。
僕のように風呂嫌いの人間は大抵そうだが、着替えを用意する・服を脱ぐ(冬は寒い)・湯船につかり・身体、頭を洗い、また服を着る。
という諸々の作業がいちいち「めんどくさい」のである。
その風呂嫌いの僕が・・・。

さて那谷寺から帰ろうと県道11号線へ出ると、山代温泉9キロとある。
暇な日曜日の事ちょっと「足湯」でも、と思い行ってみることにした。
なんせタダだ。
誰でも自由に停められる無料の駐車場があり、実に親切でありがたい。
その辺を旅行者気分でしばらく歩くと酒屋が目にかかった。
覗くとおばあさんがポツンと椅子に腰かけている。
足湯の場所を聞いてみると「すぐそこじゃあー」と言いながら「アンタどこから来やったん」に始まり世間話となった。
最近またちょっと温泉客も増えているとの事、新幹線効果だろうか、喜ばしい事である。
何も買わないのに親切なおばあさんだった。
足湯はすぐ見つかり、それなりに賑わっている。
靴下を脱ぎ、ズボンをまくる。
そしてチャポン。
もちろんそこは屋外。
まだ肌寒いが何やら全身がポカポカと暖かくなってきた。
足湯、ほう〜、いいもんだ。と素直におもう。
30分も浸かっていただろうか、すっかり機嫌?が良くなったところで、駐車場へ戻り車に乗る。
ふと、もうちょっと行くと山中温泉がある事に気付き、足湯のはしご、と思いたった。
30分もかからず着いた。
山中温泉へ着き、通りのタクシーの運転手さんに聞くと、このままもう少し行くと銀行があるからすぐに分かる。
車はその駐車場に止めればいいと、これまた親切な運転手さんであった。

数名の方が気持ちよさそうに、ポアン・・実に平和な光景である。
早速僕も浸かる。
湯船?は山代の足湯よりすこし小さめだが、温度がほど良い熱めで、少しだけ深い。
こちらの方がより心地いい。
その分だけ暖まる。
すっかり気に入ってしまった。
ポカポカ気分で周りを見るとすぐそこに「総湯」がある。
これは温泉場にある「共同浴場」の事である。(ちなみに「総湯」という呼び方は石川県特有だそうである)
すっかり気を良くした僕は、帰りの途中にある小松の「道の駅」で何年か前より小松ブランドにしようとしている「小松うどん」を食べ、家に向かった。

次の日曜日になった。
風呂嫌いの僕が山中温泉の「総湯」が気になり、今度は着替えまで用意して行ってみることにした。
何と値段は440円。
僕はもう何十年も「町の銭湯」も、「何とかの湯」とか行った事もないが、かなり安いのではないだろうか。
中へ入ると大きな湯船には真ん中から、十分すぎるお湯が噴水のように湧き出している。
もちろん人も賑わっている。
僕は十分に掛け湯をして湯船につかる。
中でイス状になっており掛けると、ちょうど首まで浸かれる、いい深さである。
ちょっと熱いな、と思ったがすぐにその温度に慣れた。
ちょっと熱めのせいかすぐ横には水場もあり柄杓(ひしゃく)で水を身体にかぶる。
冷たいが心地よい。
また湯につかる。
また水をかぶる。
と、何回か繰り返しながら、十分に楽しんだ。

またしても気を良くした僕は帰りの車中、風呂嫌いのはずの僕が、意味もなく、 「負けたなあ〜」と一言つぶやいた。
風呂に勝った・負けたはないだろう、と思いつつ、満足げな顔がそこにありました。

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