・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(C)2003
Somekawa & vafirs

金沢 BAR <主のひとり言>

酒と罰金

前回はスウェーデン人の話だったが、今回も外国人の話である。

いちばん最初に外国人を見たのは、それぞれ地域、環境、時代によってかなり差はあるだろうが、僕の場合小学校の修学旅行である。 (当時は六年時にあった)
鹿児島の郡部にある小学校からの修学旅行は宮崎への一泊二日、中学校はその宮崎を抜いた九州一周と決まっていた。 高校になり、やっといざ本州へとなる。

修学旅行そのものはともかく、宮崎駅の構内で初めて男女5〜6人の外国人(ガイジン)を見た。 山の学校の田舎者ゆえ、やや遠巻きに眺めるだけなのだが、赤ら顔、それに女性も含め圧倒されるような背の高さ、そしてホントに英語でしゃべっている事にビックリし、荷物(ボストンバック)を“ワン・ツゥー・スリー”と数えるのを見て、みょうに感心すると同時に一種のカルチャーショックでもあった。 (ところでボストンバックは当然ボストンに由来するのだろうが、はて?何ゆえ・・・知ってる方、お願い・・・)

ガイジンというだけで、正確にどこの国だったのか定かではないが、当時は昭和30年代のこと、そのころ南九州まで来るガイジンなどアメリカ人しか居なかっただろう、と思う?。 黒人などテレビのプロレスでしか見たことが無い。 (リッキー・ワルドという黒人レスラーが、よく力道山に空手チョップでやられていたのが印象に残っているな〜)

さて本題に入る。
今の時代何ヶ国、何人くらいのガイジンが日本にいるのか想像もつかないが、とにかく多い・・・。 金沢在住もかなりいると思われるが、最近国税庁がガイジンに対してあるアンケートを実施したという記事を先日週刊誌で目にした。
在日外国人千人に対して、アルコールの受け入れ調査をしたらしい。
その結果、一位にワイン、続いてビール、日本酒、そしてウィスキーとなっている。 ウィスキーは4位ということになる。“バーボン&スコッチBAR”と称する我がロブロイとしてはちょっとさみしい。
ワイン、ビールはうなずけるとして、ウィスキーより日本酒のほうが好まれているとはちょっと驚いた。 日本に来たのだから、日本の酒を飲もう。 という方向に捉えられない事もないが、だとするとあっさり一位でもいいはずだが、いまひとつ中途半端だ。 この際、国別のアンケートなど取ってほしいものだが、まあよい。

先日あるアメリカはカリフォルニア出身という旅行者が店にやってきた。
旅行者といってもすでに東京在住6年になるという。 いずれ本国へ帰らなければいけないため、暇を見つけては日本の古都巡りをしているという。 (なかなか良い心がけだ)
その彼はワインでもビールでもなく、素直にバーボンのオールド・グランダットをストレートで小気味よく、クイッ、クイッと飲っている。 ほう、さすがに良い飲みっぷりだ、と思い本国ではどんなバーボンを?と聞くと、意外にもなんと、日本に来てから覚えたとのこと。 ついでにバーボンがこんなに種類があることも日本で知ったらしい。 なにやら拍子抜けしたが、思えば僕自身もそうだが、日本人がみな日本酒を飲んでいるわけではないので、そうビックリする事ではないのかもしれない。 で、何を飲んでいたかというと彼の場合、ほとんどビールだったらしい。

それからアメリカと日本の酒場のついて始まったのであるが、何といっても値段の違いである。 色々面白い話というより、耳の痛い話を聞かせてもらった。
日本の酒場の値段は“罰金”みたいだと言っていたのが一番印象に残っている。 何に対しての罰金?なのかは置いておくとして、日本の酒場は高すぎ、その割りに面白くない。 アメリカに限らず、ロンドンやパリでも人並みに仕事があり、そこそこ稼いでいれば毎晩酒を楽しむのは当たり前のこと。 (家で晩酌の事ではない)
かなり頻繁に劇場やクラブへ行き、また毎晩それをやったからといって、特に遊び好きとか、飲ん兵衛と言われる事もないらしい。 そのために手頃なレストラン、劇場、バーなどがそろっていて、値段も罰金的に高くないというのである。
ミュージカルや芝居でも入場料は十数ドル、ショーつきのナイトクラブで飲んで食べても三十ドルもあればいい。 ジャズクラブなどこれよりはるかに安いらしい。 全てがこんな値段とは思わないが、それなりの範囲内でいくらでもある、という事だろう。
日本の場合、もちろん一部としても、座っただけで何万円というひとを馬鹿にしたようなクラブやキャバレーなど、たしかに(何かの)罰金を支払っているような気がする。 (ひょっとして侘び寂びの値段かな?)

そのアメリカ人もほどよく酔いが回り、そういう話も終わった頃、ところで此処のお勘定イクラですか〜、となったのはいいが。 オヨヨッ・・つい話の流れから安くしてしまった。
そして彼は満足そうに、ごちそうさん、と流暢な日本語で言ってドアを開け、階段を下りていった。 僕は彼のグラスを片付けながらフッと頭の中に、彼の作戦に引っ掛かったのかな?・・・という思いが一瞬よぎった・・・。
まあいいか。

<主のひとり言>  毎・月半ば更新いたします。