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(C)2003
Somekawa & vafirs

金沢 BAR <主のひとり言>

猫がやってきた日

たまにペットについて書いてみよう。昔はペットとは言わず、飼い犬、飼い猫、といっていたように思う。

もともと田舎の出。ペットなのか、家畜なのか区別のつかない状況もあり、とにかく色んな動物がいた。
まず農耕用の牛。太らして売るための豚。毎朝の卵と、何かの折、絞めて薩摩汁にするニワトリ。単に家に住みついているネコ。 半分僕のペット兼、乳も搾るヤギ。完全にペットであるヒツジ。他、亀やらウサギ。ウサギは食べたこともある。 (これは田舎でもそうとう珍しいらしい、他で聞いたことがない。風呂はマキで炊いた。その際ついでにウサギを投げ入れ、 丸ごと焼いて食べた)ほかに鳩やメジロもいた。
鳥というと、もちろんツバメは毎年巣作りしていた。蛇も家のどこかに何匹か住み着いていて、見つけても 「代々家を守ってくれている。殺すな。」と言われていた。ある晩寝ていると「ドサッ」と僕の首の辺りに何か落ちてきた。 天井から大きなカワラヘビが落ちてきたのである。流石にビックリしたが何故に・・・たぶん足を滑らしたのだろう?????

社会人になると当然一人住まいになる。それでも何がしか飼っていた。
柴犬は二代にわたり、ねこ、フナ、金魚、紅すずめ、ジュウシマツ、まだ何かいた様な気がするが、この辺でいいだろう。
ところが結婚して子どもが生まれ、と同時に中古住宅を購入、20年になるがその間、飼ったものと言えば、金魚とカタツムリくらいである。 それももう何年も前のことになる。

つい先日の事である。
朝起きると今の時期、やかましいくらいに鳥が鳴いている。すずめ、ヒヨドリ、キジバト、オナガなどであるが、その日はちょっと違っていた。
いつもよりうるさいな、と布団の中で聞いていると、どうやら子猫の鳴き声が混じっている。 はて?と思いながら一時間くらい経っただろうか、相変わらず泣き止まない。窓を明け、見渡しても見当たらない。でも近くで泣き声はする。
一階へ降り玄関へ出てみるがやっぱり見当たらない。我が家の前の道路を隔てて大きめの用水が通っている。 用水といっても水はほとんど流れていない。(幅2メートル、深さ1.5メートルくらい)どうやらその中から声がする。 覗いてみると子猫が落ちていた。降りて手を差し出すと、よほど不安だったのか喜んで手に乗ってきた。まだ片手にすっぽりと収まるくらいの子猫である。
とりあえず我が家の玄関の前にそっと置き、さぞかし喉が渇いているだろう、と思い牛乳を差し出すが飲もうとしない。 変になつかれても困るので家に入れるわけにいかない。「まあ、その内飲みたくなったら飲むだろう」そのまま牛乳を置き、僕は玄関を閉め部屋に入った。

するとまた泣き出した。
まあ泣かしておけば飼い主か、親猫が探しに来るだろう。また近所であれば泣き声で気がつくだろう、と思うが一向にその気配がない。 我が家の敷地から出ようとせず、相変わらず泣いている。
そこへ嫁さんが帰ってきた。とうぜん気がつかないはずが無い。僕は事情を話すと「どうするの?・・・」「う〜ん・・・」 そうこうするうちまた一時間たち、しかし泣き止まない。結局「飼うか」ということになり、鉢植えの影で泣いていた子猫に手を差し出すと、 手の中にひょいと飛び乗った。家に入れるともう泣き止み、僕から離れようとしない。
嫁さんはあまりペットの経験が無い家で育っている。まずは、トイレの心配があるので専用砂を買ってくることにした。 近くのホームセンターで買ってくると、僕が居ない間に嫁さんの膝の上でくつろいでいる。変わり身の早い、というかどうやら生きる術を知っていそうだ。
てごろな深さの箱を用意し、砂を入れ、ネコのお尻をチンチンと砂にくっつけながら「お前のトイレやぞ〜」とやると、なんと、 ホントに上手にそこに「ジョロジョロと」したのである。ネコは一回覚えると忘れないものだ。当然その後「大」もするようになった。賢い、重宝なやつだ。 そして嫁さんがたまたま使っていなかったクッションを出し「あなたのベッドよー」と言いながらその上に置くと、これまたすぐに気にいったらしい。 上でふかふかに体をよじりながら遊んでいる。
夕方になり仕事へ行く間際、牛乳をやってみると今度は美味しそうに完食。夜は「猫まんま」をしっかり食べたらしい。もちろん子ども達にもすぐなついた。
深夜僕は仕事から帰った。部屋をのぞくと、嫁さんの布団の横で、例のお気に入りのクッションの上で丸くなり、スヤスヤと平和に寝ていた。 今日我が家に来たとはとても思えない、可愛い、いい光景である。

ところで猫というと、よく犬と比較される。
猫は家に付き、犬は人に付く、とよく言われることであるが、先日迷い猫が我が家に居ついた話を常連のY氏にしたところ、何かで読んだとの事。
ある人間が捨て“犬”を拾った。かなり弱っていたらしい。人間は三日三晩寝ずに看病したらしい。すると犬は思った。 「この人は“神さま”なのではないだろうか?」と。

また別な話。
ある人間が今度は捨て“猫”を拾った。同じように弱っていた。人間はやっぱり三日三晩寝ずに看病した。すると猫は思った。 「ここまで大事にしてくれるとは“オレは神様”なのではないだろうか?」と。

ということでしたが、昔からよく言われること。犬は三日飼えば“3年”は恩をわすれない。猫は三年飼えば“3日”は忘れない。

今、この時点で三日目である。猫にとって三日は三年なのかもしれない。といっても生後、たぶん一ヶ月くらいではなかろうかと思っている。 現在の体重、380グラムである。 

<主のひとり言>  毎・月半ば更新いたします。