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PORTSMOUTH 冬

言葉も生活習慣も全く異なる地での新たな再スタートです。

「未体験ゾーンに入る事はすごく勉強になる。」

この言葉を大切に感じて、これまでにも増して応援していきたい。

ロンドンのウォータールー駅から電車で約1時間半。   ポーツマスの街を訪れたのは、一年のうちでもっとも昼の長さの短い頃でした。午後4時前には日没を迎え、夕焼けに帆船ウォリヤー号のシルエットがとても綺麗で、今もあの美しさが目に浮かびます。

 

華やかなロンドンの街から離れてほんの数十分。

途中の車窓には緩やかな傾斜の丘に羊がのんびりと数頭群れ、

牧歌的な風景の流れるままに目を移していると、

自然の中に吸い込まれるようでした。

「Fratton」駅に近づくと、左手向こうにスタジアムの照明灯が見えてきます。

「1898年」と、100年も前に建てられたフラットン・パーク。

木組みの柱が白壁と美しいコントラストを持つイギリス独特の趣きのある建物。

民家に隣接した正面は、劇場の入り口のような雰囲気で、

プログラム売りの声が響き渡っていたのが印象的です。

100年の歴史あるスタジアムには、様々なドラマが繰り広げられたことでしょう。

シャーロック・ホームズの作者、コナン・ドイルが

ここで、DFとしてプレーした記録も残っています。

すぐ前にあるポンペイショップは、クリスマスプレゼントを買う人達で溢れていましたが、

個々の選手の名前やナンバーの入ったグッズは全く見られませんでした。

それでも、レプリカユニには、[ KAWAGUCHI 37 ]と付けてもらえました。

フラットン・パーク        スタジアムでは、選手の試合前のウォーミングアップを見ようという観客は殆どありません。  ガランとした中で、格闘技の技のように相手をかわす練習などGKコーチとの目新しい練習風景を見る事ができました。
キックオフ数分前になって漸くほぼ満員になり、熱気を帯びてきました。  声援のリズムが今も耳に残っていますが、選手とサポーターが一体となってスタジアム全体に響き渡る様は、感動的で言葉で表現するには、とても語彙が足りません。
選手が誰であっても、素晴らしいプレーには拍手喝采ですが、ちょっと拙いプレーをすると、即ブーイングでした。チームを愛し、チームの勝利に拘るサポーターの姿勢も、「 さすがイングランド 」と感銘しました。応援するみんなの見る目の高さを感じます。

残念ながら、選手を撮すことは、禁止になっていました。

フラッシュがプレーの妨げになるのかな?

 

 

ポーツマスの街を歩いて

そこは、画架を構えて、ゆっくりと油絵を描きたくなる素敵な景色がいっぱいでした。

街並みから海岸線に至るまで広大な緑のパークが広がって、

犬の散歩や子供達が駆けていました。

古代からの石畳が残る風景は、映画の一画面の様で、

そこに現代の人が佇むのが不思議な世界でした。

強烈な刺激がないと楽しめないと言う今の日本の街とは異なり、

丁度一世代前のどこかおっとりとした娯楽を享受して居る様に見える街でした。

短い滞在でしたが、受け入れてくれる温かみのある街だからこそ、

色々見えてきたと思いました。

殆どが夜でしたが、その夜を照らす灯りが、ボッコリと優しく、本来なら凍結

するほどに冷え込んで居るにも関わらず、目に優しい暖かな灯りでした。

南に広がる眺望には、豪華客船や連絡船が数分毎に行き交っていました。

潮の香りが全くしない湖面のように静かな海と、凍るほどに冷たい風。

午前時をとっくに回っているのに、朝焼けのピンク色にそまった不思議な風景。

人間の横行を象徴するような看板や自動販売機が無く、

落ち着いた街の様子から、自然の息吹と共に時間が過ぎていくようでした。

ここでの生活を日本の物差しで測るのは間違っていると感じます。

 

川口能活選手が、進む道をずーっと見つめて応援していきたいと思っています。