みすてりーな日々の続きの続き

   

                                

10.真夜中の運動会

 あれは、12年前の夏の夜のことでした。友人とディスコで踊った帰り

ドライブでもしようということで、彼の車(MR-2)に乗り、山の中を走って

いました。午前2:00頃でしょうか。

 いい気持ちで、走っていると、山の中の霊園に入りました。少し、怖か

ったのですが、これと言って、変なことも起こらず、霊園を抜け、普通の

山道に戻りました。K市では、大変有名な霊園です。

 すれ違う車もなく、爽快です。やはり、霊園を通ったせいか、少し緊張

していたのでしょうか?私は、彼に「何も起こらなかったね」と話していま

した。

 カーブに差し掛かったときのことでした。小学4年生くらいの子供が、

体操服を着て、走っていました。2人でした。私も、彼も別に気にとめる

こともなく、通り過ぎました。そこから、直線が続きます。なんとなく、後ろ

を振り返りましたが、小学生は、カーブから、出てきませんでした。

 何か、変な感じなんですよね。その時の感覚は。そう、心に何かひっ

かっかた感じがありました。それが、何か、私は考えました。そして、

運転している彼に、尋ねてみました。「さっきのさぁ・・・・・」


「よせ、言わなくていい!」私は、彼の血の気の引いた顔を見て、悟り

ました。  そうです。夜中の2時、山の中に体操服を着て、走っている

小学生が居るはずないじゃないか。その、違和感を無意識が勝手に

捉えていたのでしょう。突然、サーッと鳥肌が立ちました。だから、山道から

いつまでたっても、小学生は、カーブを抜けてこなかったのです。この世

のものでは、なかたからでしょう。あの、赤白の帽子をかぶって走ってい

た、子供たちは、何処へ向かっていったのでしょうか?


11.中国人の女性

  私の友人に、別に見たくはないが、よく見てしまう方がいます。

その方が、困った、困ったと言っていた話をしたいと思います。

 

 彼女は、夜遅い仕事ですが、先日、高い敷金・権利金を支払

高級マンションに引っ越しました。そこで、起こった出来事です。

 毎晩毎晩、金縛りにかかるようになったそうです。それに、どう

も足下に、誰かいるような気がするとのこと。

 嫌になって、引っ越ししようにも、費用が勿体ないので、どうに

かしなければと、悩んでいたようです。
 
とうとう、金縛りにかかって、7日目の夜、彼女は決心しました。

「足下のもの」に問いかけることにしたのです。

 彼女がベッドに入ってから、金縛りにかかりました。彼女は、

恐怖に耐えて、足下を見ました。すると・・・・・・・・・・・・・

 女性が恨めしそうにじっと、彼女の方をみています。

「ちょっと、何で、私のとこに出てくるの!」彼女は、その女性に

言ったそうです。女性は、現代の洋服を着ておらず、何か中国風

の洋服だったそうですが、綺麗な女性であったそうです。

彼女が、お願いしても、「それ」は、じっと彼女を見ているだけです。

いらいらした彼女は、「お願いだから、こんなことやめて!私も、高

い金払って、やっと、ここに引っ越ししたのだから。出るのは、他に

して!」と、怒鳴ったそうです。

 

 「そこにいると会えない・・・・そこにいると会えない、通れない」と

言う声が、聞こえました。どうやら、「それ」が言ったそうです。


 彼女は、何のことかわからないので、「会いたければ、会えば!

私に関係ない!」と言い返した。

 すると、「あなたが、そこにいると会えない。通れない。どうしても

 あの人に会いたいのに」そう聞いたそうです。彼女の中に、突然

イメージが浮かびました。「それ」の名は、アイリーンで、彼氏とどう

やら別れたらしい。その男は、彼女が、寝ている場所を超えた奥に

いるらしい。

 彼女は言いました。「私の上を乗っかって行ってもいいから、私の

前に、現れないで」と頼んだそうです。

 それっきり、その女は出なくなったそうです。その、マンションの建っ

た場所には、悲恋物語があったようです。とにかく、彼女の寝ている

場所が、霊界の通り道であったのは、間違いないとのことだった。


12. 猫の夢 
 
 去年の夏だったと思います。朝方、猫の夢を見たんです。

 夢の内容は、自室に入ってきた野良猫を捕まえて、窓から

放り出すというもの。その際、私は野良猫に左手を引っ掻

かれてしまいました。夢はそこで途切れて、私は目を覚まし

ました。それにしても、非常にリアルで、夢とは思えぬ程で

した。全く、妙な夢を見たなと思いながら、ベッドから上半身

を起こしました。その時、左手がヒリヒリと痛むのを感じました。

 左手を見ると、ある筈の無い引っ掻き傷が残されていたのです。

丁度、野良猫に引っ掻かれたような傷です。

 でも、その時の部屋の状況は密室であり、外から猫が侵入して、

寝ている時に引っ掻かれたとは考えられないのです。又、寝ぼけ

て何処かに左手を擦り付けて出来た傷でもありません。

 余りにも不可解な事だったので、同僚にも確認させましたが、首

を捻るばかりでした。そして、私は夢の内容をもう一度思い出しま

した。

もし、一時的に夢と現実の境目が消滅したら、この引っ掻き傷も存

在する事になりはしないだろうかと。・・・勿論、そんな馬鹿げた事が

現実に起きる筈はありません。しかし、例え馬鹿げた事ではあって

も、何らかの理由付けが欲しかったのです。

 その日は、事情を知らぬ他課の同僚達にある事を何度か

訊かれました。

「その引っ掻き傷、一体どうしたの?」


13.オレンジ色の子供

 私が、ある借家に住んでいた頃の話です。その借家は

古い築25年もたっていようかという借家でしたが、二階建て

で、5LDKで、駐車場 車2台OKの広さでした。日中は、日当

たりもよく、その地域の家賃の相場からは、2万円近く安い、

掘り出し物の物件でした。車を2台所有していることもあり、

私は、迷わず契約しました。

 1階の洋間があり、そこを書斎としていたのですが、何か

嫌な感じを肌で嗅ぎ取るのに、入居後、そんなに時間は、

かかりませんでした。

 鍵を取り替えても、ギギーッと音がして、夜中に、開くのです、

ドアが・・・・・ 「しょーがねーな、古い家は」と能天気に、

気にしない振りをしていましたが、天井の一部分の嫌なシミも

なるべく、凝視しないようにしていました。

 そうこうするうち、不思議なもので、生活していると気にならなく

なっていました。

 半年が過ぎ、夏になりました。私は、2階の和室を寝室にして

いました。2階には6畳の和室が二間あり、襖で仕切られていました。

 夏になり、蒸し暑いので、仕切である襖を外すと12畳の寝室に

なるわけです。「これは、爽快じゃん」と、広々とした寝室に満足しな

私は、ご機嫌状態でした。

 ある日の日曜日、電話線を二階まで延長しようと、配線の工事を

していたときのことです。私は、変なものをたくさん見つけました。

 

 それは、お札だったのです。その数は、尋常ではなかった・・・・・・

 嫌な物を見てしまったものの、気にせず、多忙な日常の中、そのこ

とも忘れてしまっていた頃のことです。

 ある夜、寝苦しく暑い夜なので、目が覚めました。ふと、隣の部屋を

みました。うん?あれ?なんか、いる・・・・・・・・

 

隣の部屋にオレンジ色の着物をきた子供が浮いているのです・・・・・・

暗闇の中、うっすらと光を放ち、子供が浮いている・・・・・・目を逸らそう

と思っても、目が逸らせないのです。今の時代の子供でない!というより

この世のものでない。真っ暗闇の中、オレンジ色が鮮やかに識別できる

筈がないのですが、はっきりとみえるのです。光っているのですから・・・

私は、目をそらせないまま、じっと見つめ合いました。その時、その子が!

にこっと笑ったのです、それから、私の意識はありません。

 朝になり、目が覚めました。シーツは、ぐっしょり、寝汗で濡れていました。

一階の書斎の嫌な感じ、その子の現れた位置の真下にある天井のシミ、

二階の階段の壁に貼られた、異常な数のお札、安い家賃、そして、子供

 それから、私は、2度、その子を見ました。車で大きな事故を起こしま

した。

 引っ越しを真剣に考えたのは、その年の冬のことでした。

 私が、引っ越して、1週間後、すぐに、その借家は取り壊されました。

今は、学生アパートに、変わっています。