「水川抱月・・」 「えっ!?!」 想像以上に大きな声を出した繁を、はほんの少し不思議に思ったが、続けた。 「俺の、部屋の本棚にある、水川抱月の『樹の下にて』に、例の写真が挟んで・・・ある」 「・・・・・・・・・そ、そう。ああ、驚いた」 「?」 大事な情報を話したのに繁のこの反応は一体何だろう。 はこの隙にとばかりに、身体を捩り繁の下から逃れようとした。 「おっと」 簡単に抱きすくめられて、身動きが取れなくなった。 「まだ、もう一つを聞いてないよ?」 「これでもう用は済んだだろう。さっさと服を返せ。俺は帰る」 「さっきはあんなに可愛く鳴いてたくせに・・・」 ぼそりと言う繁に、の眉が跳ね上がる。 「なんだと!?」 「さっきは、女の子みたいに可愛く鳴いてたくせにって言ったんだけど? ぼく、何か間違ったこと言ったかな?」 「き・・・さまは、また俺を女扱いするのか!」 が、叫んだとき、部屋の入り口で音がした。 薄暗くてよく見えないが、おそらく小使いが来たのだろう。 月村と何か話している。 「そうですか、くんが・・・」 「? がどうかしたのか!?」 自由にならない身体で、が怒鳴る。 「ああ、お気になさらず。大したことではありません。要くんがお相手して、今はいい子にお部屋でおねむのようですから」 「な・・・なんだって・・・!?」 「そういうことです。さて、写真のありかはくんの部屋にある、彼の『樹の下にて』だそうですよ、要くん」 「あっ」 繁が小さく叫んだ。 「・・・彼の?」 不思議そうにが首を傾げる。 今、月村は「彼の『樹の下にて』」と言わなかっただろうか。 「あ、さん、もしかして知らないんじゃないですか? 水川先生が、その方だってこと」 要が、ぽんと手を叩いて言った。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ?」 こいつらは一体何を言っているんだ?と、は、助けを求めるように繁に視線を投げかけた。 が、繁は微妙な顔をして、後頭部を掻いている。 確かに、はこの繁という男のことをよく知らない。 知っていることといえば、花喰ヒ鳥について知っていて、柔和な表情の裏に意地悪な本性が見え隠れしていて、男色家で、 それで、どうやらしがない小説書きで・・・しがない小説書き!? 「ま、ま、ま・・・まさか・・・・」 「あはは、ばれちゃった?」 全身の力が抜ける。敬愛していた小説家に、自分は一体何をした?させられた? へなへなと崩れ落ちるを、苦笑しつつ抱きとめる繁。 「先生、僕、さんの部屋へ写真を取り返しに行ってもいいでしょうか?」 要が月村と話している声が聞こえるが、はもう、どうでも良くなってきた。 もう、花喰ヒ鳥など知ったことか。 要が階段を降りていく音が聞こえる。これで切り札はなくなった。 「しかし、まさか写真を隠しておくなんて思いませんでしたから、本当に驚きましたよ。 本当ならここで解放してあげてもいいんですが、一泡吹かされた腹いせをしてもいいでしょう」 背後から月村の声が聞こえる。要と一緒に出なかったようである。 おそらく花喰ヒ鳥は、この男だろう・・・はほぼ確信した。 事件を起こした理由についても、写真をばら撒いている理由についてもまったく不明だったが。 そして、おそらくその事実を繁も知っている。 あの悲しそうな目の理由の半分は、きっとこの件に関してのことなのだ。 もう半分は・・・、そこまで考えて思考を停止した。 ・・・考えたく、ない。は、無意識に子供のようにふるふると首を振った。 「さて、レイフ。素性がばれてしまっては、お仕置きしにくいですか? なら私が・・・」 「いや・・・その必要はない。ぼくがちゃんとするから」 まただ。 は繁の異変に気付く。どうも繁は月村の目をじっと見ない。 やはり、月村と繁との関係に特別な何かを感じずにはいられない。 もやもやする。 「ぅわっ!?」 「ほら、余所見していちゃ駄目だろう?」 言うと、繁はを仰向けに寝かせる。 そして自分の髪を結わえていた紅い紐をするりと解いた。淡い金が流れる。 「な・・・?」 何をするのかと思えば、その紐とを交互に見て、薄く笑った。 柔らかな金糸が素肌をくすぐり、ぞくぞくさせる。 思わず、身体がびくりと跳ねた。 「怖い?」 「だ・・・っ誰が怖いものかっ」 「そう、それなら良かった。今からね、君のここにおあずけを覚えてもらおうと思って」 言うや否や、の萎えかかっていたそれの根元を、紐できゅっと縛った。 「な、何をする!?」 「言っただろう、おあずけを教えるんだよ」 再度、四つん這いの体勢をさせられ、が抵抗する。 「離せっ!! ・・・・・・ぁ・・・っ」 秘部に、繁のものが押し付けられた。 それはもう既に猛っている。 「お利口さんにしないと、痛い目見るよ?」 「・・・・あっ・・・!」 そうは言いながらも、繁は優しく器用に様子を見るように侵入してきた。痛みはない。 萎えかけていたのそこも、完全に熱を取り戻すのに、そう時間はかからなかった。 「そう、いい子だね。そのまま力を抜いて・・・」 耳を甘噛みされる。 それだけで、達してしまいそうになる。 「ぁ・・・!痛・・・ぃ」 「ん? ああ、こっちだね?」 ちょんと、の先端に触れる。 「あぅっ と、とって・・く・・・・れ・この紐・・・っ」 萎えた状態で、きつめに縛られていたそれは、大きくなるにつれ食い込む。 「駄目だよ。それは、お仕置きだからね」 「な・・・・あぁっ・・・痛い・・・」 「続きをして下さいって、ちゃんと言えなかったお仕置きだよ」 「そん・・・なっ」 「でも、痛いばかりじゃないだろう? ほら・・・」 ぐいっと自身で突き上げられた。 「ああああっっ」 「どこがいいのか、自分で言ってごらん?」 「いや・・・だ・・・あっ・・・あああっ」 わかっているくせに、意地悪極まりない質問をしてくる繁を、力いっぱい罵りたい気持ちになったが、 今そんなことをしては、余計に虐められるだけである。それに、正直なところ、その余裕はない。 せめて声を出してなるものかと、は必死に声を噛み殺す。 「・・・・・っ・・・・・・っ!!」 「なるほど、そうきたか。それじゃ、お手並み拝見とこうか。・・・いつまで持つかな?」 ぐいっ。 「・・・・・・・ッ」 ぐいっ。 「・・・・・くっ・・・・・ぅ」 「ふぅん、頑張るねぇ。じゃ、こうすると、どうかな?」 ぐいっっ。 「・・・ァ・・・アッ・・・・ぃ、あ、はぁっ!!あっあっ、あ・・・だ・・め、も、駄目・・・!!」 「やっぱり、ここが一番効くね」 笑って言いながら、繁はの腰をしっかりと掴んで固定すると、そこばかり集中的に突き上げる。 下腹部があたる音と、中の水音がいやらしく部屋に響いている。 「たの・・・むから・・・とって、紐・・・・おね・・・がいだっ!!」 ついにぽたぽたと涙を流しながら、哀願する。 はち切れんばかりに誇張した自身は、とうに自分の限界を超えているようだった。 その先端からは、じわりじわりと透明な液体が滲み出ている。 「う〜ん、そんなに可愛い顔されると・・・」 参ったなぁというように、繁は軽く溜息をつく。 そして、自身に手をのばし、その紐を捕まえようとした。 「おや、躾が甘いのは感心しませんね。おいたのお仕置きは厳しくしないと」 それまで黙っていた見ていた月村がゆっくりと二人に近付いてくる。 「レイフ、紐を離しなさい。まだ解いてはいけませんよ」 「幹彦・・・」 「たの・・・む、もう、出した・・・いっ」 「くん・・・」 繁の紐を持つ手が迷っている。 「ふぅ、世話が焼ける」 月村は無表情に言うと、繁の羽織っていた着物の下から手を差し込み、その秘部に無遠慮に指を挿入した。 「み、幹彦・・・・!?」 繁の目が、これでもかというほど見開かれた。 自分の中に、彼の指が入っている。 考えるよりも先に、を陵辱し、熱くなっていた身体が更に熱を持つ。 「ほら」 長い指が、繁の中を掻き回す。 「あっ」 思わずその快感から逃げようと、腰を前に突き出してしまう。 「あああっ」 すると、が泣きながら喘ぐ。 「これはいい。君たち二人へのお仕置きにはこの手段が一番手っ取り早かったですね。おや、ここがいいんですか?」 繁の、しまったという顔を月村は見逃さない。 冷笑のまま、指を蠢かせる。 「あ・・・やめ・・・幹彦っ」 「や・・・ぁ・・・くぅ・・・・紐を・・・っっ」 「くん、君はもう少しすれば良くなれますから我慢なさい。ほら、そのためにもレイフにはもう少し頑張って頂かないと」 「・・・くぅ・・・あっぁ・・・・アアっ・・・あっんっ・・・・・幹彦・・・やめ・・・・・あっ」 どんどん甘くなる繁の声が、背後でする。は、もう何が何だかわからなくなり始めた。 この辛い快感の波はいつになったら引くのだろう。 限界まで高められ、それをとうに過ぎた気さえするのに達することも許されない。 その時、は全身が雷に打たれたかのような鋭い衝撃が走った。 「あぅっ?・・・・はぁ・・・・あぁーーーーーっ!?」 「おや、くんは達したようですね」 「え・・・そん・・・な、馬鹿な・・・」 繁がを覗き込む。紐を解いていないのに、達することなど出来るはずがない。 はびくんびくんと脈打つようにして身体を痙攣させている。 確かに達しているようだが、その間が長すぎる。 「精を出さすに、達しているんですよ。物理的な終わりがないので、長時間達している感覚を味わえるのです。 そう、まるで女性のようにね」 「あ・・・・ア・・・・・ア・・・・・」 あまりにも強い快感は、痛みよりも酷だろう。 繁は急いで、もう一度自身を戒めていた紐に手をかけた。 今からでも出せば、少しは楽になるだろう。 「レイフ」 咎めるような月村の声に、びくりとその手は止まる。 その間もの華奢な身体は繁の下で、痙攣している。 「君も一緒に達するといい。ほら、ここがいいんでしょう?」 「あっ・・・・幹彦っ!」 「我慢せずに、くんの中で果てなさい」 これ以上に負担をかけたくないのに、の中を激しく掻き回してしまう。余裕など、とうにない。 追いつめるように動く月村の指に、繁が逆らう術はなかった。 「くぅ・・・・っ!!!!!」 そして何の焦らしもなく、あっさりと達かされてしまった。 最後の瞬間、月村の手が動いたように思う。 重い瞼を開けて見ると、どうやら繁が達する瞬間に、のものを戒める紐を解いてやったようだ。 が精を放った後があった。 ぼうっとする頭の片隅で聞こえる足音は月村のものだろう。 は、ぐったりとして、動かない。口付けようと顔を近づけると、小さな寝息が聞こえた。 「これだけ無理をさせたんだから、仕方ないか・・・ごめん」 そして優しく口付ける。 東の空が明るくなる頃、土蔵の中で、二人は重なり合うようにして眠り込んだ。 <<<前 次>>> |