金沢舞踏館 考えている事
 Kanazawa Butoh Kan
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金沢舞踏館の考える舞踏
「ゲーム脳の危険」などようやく子供のコンピュターゲームが脳に与える悪影響が叫ばれるようになった今日では、人間のとほうもないイマジネーションの力はいっせいにバーチャルな方向に向いています。体験していなくともあたかも体験したかのような錯角は、結果的にこころとからだを分離させることになります。こうして、今日の私達は、おうおうにしてさまざまな不安な精神状態を慢性的に抱えることになります。 こころとからだをまるごとひとつとして捉える舞踏にとっては、からだを使って思考することに集中できるということが不可欠です。イマジネーションの力を身体の奥深いところ、無意識の領域でとらえることで個人的なこだわり、押さえられていた感情などが自ずと、動きや踊りに顕われてくることになります。それを表現として、昇華することが私達の舞踏です。踊りをつくりながら、必然的に自分をみつめ直す作業が必要になります。 このように、身体表現と心身の深いところを活性化させる技術を渾然一体として、苦心して造り上げてきた舞踏は、極めて独自性があり、従来以上に洋の東西を超えて、現代人にとって重要なものとなってきていると言えるのではないでしょうか。

金沢舞踏館の作品の特色
「生命」とは何だろうか。この普遍的なテーマに答えるのは困難です。金沢舞踏館は、これまで「男爵」(じゃがいもの品種名)、「鉱物王子」、「暗黒石棺」、「腹中のむし」など、一見生命を持たないかのようなものの生命をテーマとして扱ってきました。それは命に対するまなざしの深さを追求しているからなのです。形のあるものには、はじめがあって終わりがあり、そのものの固有の時間を持っていることへの共鳴と共感が私達にはあるからなのです。しかし舞踏は生命だからといって直接的な表現は好まないのです。近年は、まず死からはじまって生に至るという逆説的循環のありかたを追求した作品創りに至っています。
最新作「記憶の海/THE SEA of MEMORIES」 2003/7/15
オーストリア・グラーツ市





キーワード
舞踏・山本萌・白榊ケイ・暗黒石棺・腹中のむし・男爵・鬼・内臓感覚・身体表現・さめやらぬ・ワークショップ