なぜ骨盤内臓器が膣から飛び出すの?
出産や加齢などにより、骨盤内にある内臓(尿道,膀胱,子宮,直腸などの
骨盤内臓器)をささえている骨盤底と呼ばれるハンモック状の筋肉や靭帯が,緩むことがあります。この骨盤底がゆるむと左上図のように骨盤内臓器が膣から飛び出してきます。これを骨盤臓器脱(膣脱/性器脱とも呼びます)と言います。
砺波総合病院における骨盤底再建手術
現在、下がっている尿道や膀胱を治すときは泌尿器科で手術を受け,子宮は婦人科で、直腸は外科で、というようにそれぞれ下がっている臓器により、別々に手術が行われるのが一般的です。しかし、それぞれの臓器が一つだけ下がるということは少なく、また、そのとき下がっているのが一つの臓器だけでいったん手術で治したとしても、後々他の骨盤内臓器も下がってくることが少なくありません。そのようなことを防ぐために当病院では大腸肛門科と婦人科、そして泌尿器科が協力して一緒に手術を行い、骨盤底全体を一度に直すという手術を行っています。
骨盤底再建手術とはどんな手術?
骨盤底再建手術は、骨盤内臓器を支える組織を補強する手術であり、脱出してきた骨盤内臓器を切り取る手術ではありません。手術前にそれぞれの臓器がどの程度脱出しているかを診断するだけでは不十分です。骨盤底全体の緩みを詳しく調べると同時に、緩みによって下がった臓器の機能障害の程度を診断しておくことが重要です。手術方法の決定と、手術後に期待される機能改善の予測をして、実際の手術に臨みます。手術方法には、従来から行なわれている下がった臓器別に膣から補強する方法(従来法)、お腹から修復する方法、骨盤底全体を一度に補強するメッシュを使う方法(メッシュ法)、肛門からの脱出や会陰下垂を合併する場合の手術(大腸肛門外科医が協力手術)、さらにこれらを組み合わせて行なう場合などがあります。当センターでは、2013年5月までは、おもにメッシュ法を行ってきました。しかし、欧米諸国でメッシュによる合併症が社会問題化したために、日本でもメッシュを膣から入れる手術は行えなくなります。2013年6月から、腹腔鏡下仙骨膣固定術を導入いたしました。

膣や肛門から臓器が下がる感じがして不快な方、そして尿が漏れやすかったり、出にくいという症状のある方、大便が漏れたり出にくいという症状のある方、または他の病院で一度骨盤底再建手術を受けた後に再発された方、診察や手術を希望される女性の方は、砺波総合病院(電話0763−32ー3320)泌尿器科外来受付まで平日午後3時から5時にご連絡ください。(平成19年8月6日から女性専用スペース((中待合室も女性専用))で診療を開始しました。詳しくはこちら


(新聞各紙に女性骨盤底再建センターとTVM手術に関する記事が掲載されました)
   病院の女性骨盤底再建センターのページはこちらをご覧ください。

骨盤底再建手術前

当センターでは、大腸肛門科、婦人科、泌尿器科が合同で骨盤底再建手術を行なっています。米国泌尿器科学会の研修コースや国際泌尿婦人科学会教育コース、また国外で行なわれる新鮮遺体を用いた手術研修も受講しています。現在主に行なっている手術は腹腔鏡下仙骨膣固定術ですが、この方法は、骨盤底の修復効果が高く再発が非常に少ないという特徴があります。上図は手術で修復された膀胱瘤(膀胱が膣から飛び出してくる状態)です。膀胱瘤の場合、内蔵の脱出感だけでなく、尿が出にくくなったり尿が我慢できにくくなったりすることもあります。手術で臓器の形を修復することは当然ですが、修復によって排尿の症状も改善して生活が楽になることがさらに重要です。

骨盤底再建手術後

骨盤底再建手術とは? 
女性で、膣や肛門から臓器が下がる感じがして不快な方、そして尿が漏れやすかったり、出にくいという症状のある方、大便が漏れたり出にくいという症状のある方はいらっしゃいませんか?そういう方を診察すると、実際臓器が膣や肛門から飛び出していることがあります。こういう症状を手術で直す方法を骨盤底再建手術といいます。