特に力を入れている領域など

1.体腔鏡(腹腔鏡、後腹膜鏡)下手術

 手術の低侵襲化を図るため,副腎,腎,腎盂尿管などの腫瘍性疾患だけでなく腎盂尿管移行部狭窄症や腹腔内精巣などに対しても体腔鏡下手術を行っています.
体腔鏡下手術は,最近の報道などでも明らかなように,未熟な術者が行うと致命的な事故や過失につながります.当科では,すでに江川が泌尿器腹腔鏡手術技術認定(日本内視鏡外科学会認定)を取得しています.
北陸地区では数少ない,独力で各種体腔鏡下手術を安全に行える施設です.年間約20例を行っていますが,今後症例数は増加していくと予想しています.

2.回腸利用代用膀胱手術

 術後の患者さんの生活の質(QOL)をなるべく損なわないように,自排尿型の代用膀胱手術を積極的に行っています.
年齢や性別を適応の妨げにせず,患者さんの希望を最優先に行うようにしています.特に高齢者に対しても安全に実施できるよう,手術時間を短く出血を少なくするよう,手術手技の向上に力を注いでいます.
平成16年度は女性1名を含む8名に実施しました.80歳以上の方も2名いましたが,手術はいずれも7時間以内に終了し,出血は1000cc以下で自己血の返血のみで対応可能でした.

3.女性骨盤底形成手術

 大腸肛門科と婦人科と密接に連携して,尿失禁や膀胱瘤に対する手術を最近開始しました.
尿失禁に対してはTVT術を,膀胱瘤に対してはメッシュを用いた膣前壁形成手術を行っています.
膀胱瘤は,子宮脱や直腸瘤を合併することが多く,泌尿器科単独で手術を行うことの方が少ない疾患です.
当院では,大腸肛門科,婦人科そして泌尿器科の良好な連携のもと,脆弱な骨盤底を持つ女性患者さんに最適な手術を実施しています.

4.前立腺癌センチネルリンパ節研究

 前立腺癌におけるセンチネルリンパ節について,臨床研究を行っています.
術前に前立腺にアイソトープを注射し,術前のリンパシンチグラフィーと術中のガンマプローブによってセンチネルリンパ節の検索を行っています.
あくまでも研究的治療ですので,検証のため骨盤内拡大リンパ節郭清を行い微小転移も含めたリンパ節転移診断を行っています.
この研究は,当院医の倫理委員会での承認後,患者さんから文書による同意を得て実施しています.
その成果は国内だけでなく国際学会でも発表しています(2004国際センチネルリンパ節学会;米国サンタモニカ市,2005米国泌尿器科学会;米国サンアントニオ市).