河崎 徹
河崎さんは、金沢近郊の医王山(いおうぜん)で、イワナやヤマメなどの養殖と、川魚料理の店「かわべ」をやっている、そろそろ落日間際の六十代。仕事より、魚釣りやら草野球やらにうつつを抜かし、店の方は、気が乗らないと勝手に閉めてしまうのが玉にキズ。(でも料理はウマイんだな)。いつもマイペース、ままよ気ままの行きあたりばったりエッセイからは、その人柄が伝わってきます。

第五十回特別編 詩   「今」

人間が(自分が)わからない。
人間が(自分が)かしこいのか
  そうでないのかわからない
人間が(自分が)善なのか
  そうでないのかわからない。

人間が(自分が)これまで何かやってきたのか
  そうでなかったのかわからない
人間が(自分が)これから何かできるのか
  そうでないのかわからない。

人間が(自分が)これまで幸せだったのか
  そうでなかったのかわからない
人間が(自分が)これから幸せになれるのか
  そうでないのかわからない。

やっぱり人間が(自分が)わからない。
だから人間が(自分が)おもしろいという人がいる。

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