侵入者!? 10 〜実験〜 一番最初の忍者からの襲撃と撃退劇を繰り広げた後、何度も忍からの襲撃を受けては返討ちにするという生活を送った。 三代目火影との契約もあるので、ルシファードとナルトは安心して正当防衛の範囲になんとか収まる程度の抵抗を行った。 抵抗した際に念動力を使った結果、もちろん力の調整はしているのだが、森から木が著しく減少したり、演習場が何日も使用不能になったりした。 もちろんその後の後始末、修繕は三代目火影の名の下に行われた。 実働部隊は下忍だったりするが。 Dランク任務として建築業者と共に演習場の設営や植樹が行われた。 三代目火影には里長として、責任から逃れようといった行動は見られず、十分に責任を果たしていた。 こんなことが頻繁に起きてたんじゃ、うちの司令官殿だと早晩胃に穴が開いているな。 我が司令官殿は『責任』が大嫌いだからな。 まあ、実際多いタイプの人間だし、その分、丸め込むのはたやすいから別にいいんだけど。 自分が現在所属する基地の司令官を考え、責任を放棄しない三代目火影は信頼できる上官だと言えた。 …多少口が滑りやすいのは難点だったが…。←今回のトラブルの原因。 襲撃も初めのころはルシファードの頭脳を自国の物にしようと誘拐目的なものが主だったが、最近は暗殺目的、名を上げるためというものが主になっているようだ。 なんと言っても、襲ってくる早々、『死ね!』とか、『お命頂戴!』という言葉が出てくるくらいだ。 数々の誘拐失敗という結果から、生きたまま誘拐した上で自国のために働かせ、技術力の向上に利用するのは困難であると判断したようで、これ以上木の葉の技術革新を進行させ、国力の差が生まれる前に、キーパーソンであるルシファードを始末する方向で決まったようである。 ある日、 「ハハハ!ルシファードさん、忍者でもないのに他国のビンゴブックに載ってたぜ!」 どこぞから入手してきたのかはさだかではないが、他国の手配帳だという巻物を見せながら、ナルトはルシファードに明るく言った。 ナルトが実は火影直属の暗殺戦術特殊部隊、通称暗部に在籍し、主に夜間任務に就いているということをナルトから告白され、ルシファードは知っている。 手配書は暗部での任務中にでも入手したのだろうと検討をつける。 案の定、聞いてみると「戦利品だってばよv」と明るく言われた。 まあ、俺もよくやるけど。敵の武器を奪ったりとか。 ナルトが暗部に所属しているということ、その任務内容を聞いても、特に疑問は持たなかった。 ルシファード自身、幼いころから殺人の方法を母親からみっちりと仕込まれ、通園用のかばんに弁当と一緒に護身用の銃を持ち、身の危険があった時は迷わずに相手に銃弾をお見舞いしてやるような生活を送っていた。 また、賞金稼ぎやボディーガードをしていた母親に付き、一緒に仕事をする機会も多かったためだ。 幸か不幸か幼いころからルシファードは人の生き死にに関わる機会が多かった。 「…指名手配?××!嬉しくないっての!」 聞くとちょっぴりドキッとする俗語を使って悪態をつく。 …××?汚い言葉に顔を引きつらせるナルト。 そんなナルトを他所に、 俺に安息の地はないみたいだな……。 いや、別にそれを求めてこっちに来たわけじゃねーけど。 なんか、あっちにいるより肉体的にスリリングな生活送ってるし。 対忍者戦って念動力使えるエスパーと戦ってるのとほとんど同じだもんな。 …俺って、とことんトラブルに愛される男なのね……。 そう考え、ルシファードは溜息をついた。 なんか、すっかり馴染んじまってるけど、そろそろ真面目に帰ること考えねーとなあ。 とりあえず、こっちでの仕事は区切りがついた。 作業・教育マニュアルも作ったし、もう、俺はいなくても問題はないだろう。 来た状況が状況だけに、突然消える可能性があるっていう話もしてある。 あっちに帰る段取りだけはもう十分なんだが。 …ライラも心配してるだろうしなあ。 学生のころからの長い付き合いになる優秀な副官を思い出す。 ……帰ったら何言われるか……。 PCリングも壊れてるし。 まあそのおかげで忍者とも戦えるんだけど。 ……こ、恐……。 若干、顔が青ざめる。 ま、まあ、それは仕様がない。 男の子らしく腹をくくろう。 サラディンも無事だといいけど。 守るって約束したのに、無断でかなり留守しちまった。 まあ、あそこで早々何かがある可能性は薄いけど。 さて、問題はどうやって帰るか。 ……こっちにきたこと自体非科学的でありえねえことなのに、真面目に考えて答えは出るのか? とりあえず、駄目元で無線を使って電波は発信しているものの、今のところまったく反応ねえしなあ。 なんだか平和的には問題が解決しないようないやーな予感が……。 やっぱり無理やりテレポーテーションできるような状況に追い込むしかないか……? 方法1、感電 方法2、爆弾 等と考え、でも普通に受けたんじゃ普通にテレポーテーションするか、ただ無駄に怪我する恐れが大きいんじゃ… しかも自ら爆弾抱えて爆発してみるって、どこぞのテロリストか、周りの迷惑を考えないイっちゃってる自殺志願者みたいで嫌だなあ。 マゾじゃねーから痛いのもできれば勘弁してほしいよな……。 うーん。でもなあ…… 明るい兆しがちっとも見えない堂々巡りの思考に再び溜息をつく。 そんな、ルシファードを見て、ナルトは ルシファードさん、また考えこんでる。 あれは、また思考の迷宮に迷いこんでるな。 と温かいミルクティーをすすりながら分析していた。 だが、今日はいつもとは違う結果に辿りついたようだった。 ルシファードはゆらりと立ち上がり、「感電してみる…」と言い出した。 「は!?」 突然何を言い出すんだってば、とナルトが止める前にルシファードが電源プラグにワイヤーを差込み、ビクッと震えたかと思ったらルシファードの姿が消えた。 「!消えた!え!?本当にコレで帰れたのか!?」 周りの気配を探る。 あ、いた。 家の外。 ……駄目だったのか。 「……ただいま」 間もなくルシファードが帰宅した。 「おかえり。残念だったね、ルシファードさん 怪我は?」 「まあ、いきなりうまくいくとは思ってなかったけどね ……怪我はもう治った」 言葉とは裏腹に、やや自暴自棄な様子のルシファード。 はあ。 ホント、帰れるんかなあ、オレ。 思いついて実行しうる限り肉体的に負荷を与え、テレポーテーションを誘発しても、従来どおりにしか力は発動せず、ルシファードは結局帰ることができなかった。 精神状態も関係していることも考えられたが、アレほど爆笑できることがそうそうあるはずもなく、また同じ状況を作ろうとすれば、変にかまえてしまい上手くいかない。 ルシファードが惑星バーミリオンに帰れる日はまだ先のようだ。 |