侵入者!? 4 〜突撃!ナルトんち〜 


「お、ナルト君おかえり」
「あ、えと、…ただいま」
(ただいまなんて言うのすごいひさしぶりだ。
オレ一人暮らしだし、家にだれかいるなんてこと、火影のじっちゃんの所出てからなかったもんな)

思わず照れ笑いがでる。

「ルシファードさん、なんかね、ルシファードさんに会いたいって、下忍仲間と先生が来てるんだけどいい?」
「ん?俺に?何人?」
「3人」
「ちょうどいい時にきたな。
 今、おやつのケーキが焼けたところだ。
 料理するの久しぶりだから楽しくて仕方がない」
「そういえば、甘くていい匂いがするってばよ。
 今呼んでくる」



ナルトは「この人がルシファードさん」と仲間に紹介し、次にルシファードにサクラ、サスケ、カカシを紹介した。


「ナルトたち下忍3名を受け持っている上忍のカカシです。初めまして。
すいませんね。突然お邪魔したりして。
いやー、”俺の”ナルトが突然昨日知り合ったばかりの怪しい男と同居始めたなんて言うもんですから心配になりましてね」

カカシは笑顔で言ったが、微妙に殺気が滲みでている。

「だれがお前のナルトだ、この変態上忍!!」
すかさずサスケが突っ込みを入れ、カカシにクナイを投げつける。
「あぶないでしょ、サスケ。家の中でクナイなんか投げたら」と言いながらカカシは素手でクナイをすべて受け止めた。
さすが腐っても上忍。



サスケとカカシが漫才をやっている間、ルシファードはどう対応すべきか考えていた。
(ええと、カカシ先生は”俺の”ナルトと言っていたような…。
こういうのなんて言ったけ?
ええと、ショタコン?
うーん、ナルト君が幸せなら俺が口出すことじゃねえけど、いいのかなあ…?)

「ナルト君、ナルト君とカカシ先生は先生が言ったように特別な関係なのかな?」
「違うってばよ」
(冗談でも勘弁してほしいって!なんでオレがカカシなんかとっ)

「ルシファードさん、カカシ先生の言ったことなら気にしないで下さい。
いつものことですし、事実でもありませんから」
サクラがキッパリ言う。

「ならいいんだけど。カカシ先生は変わった冗談が好きなんだね」
「カカシ先生が変態なのは本当ですけど」
「え、えと、それで大丈夫なのかな?」
「今のところは。
カカシ先生も無理やりどうこうしようとまでは考えていないみたいですし。
あくまでも、今のところは、ですけど」
「うーん」


「サークーラー、さっきから聞いてると好き勝手なこと言ってくれちゃってるみたいだねー」
「事実を言ってるだけです」
にっこりとサクラが笑って言った。
「サクラの言うとおりだ」
サスケも同意する。

「ひ、ひどい。先生泣いちゃうぞ」
無視。


「それと、カカシ先生と一緒っていうのはあまりうれしくないんですけど、
私もルシファードさんはちょっと怪しいと思います」

「怪しい…まあ、そうだろうなあ。
 自分でも、嘘は言ってないけどあんな説明でよくすんなり滞在許可が出たと感心してる」
「そっちも確かに怪しくはありますけど、まず見た目が。
 家の中でもスクリーングラスしてるし。
 どうしてなんですか?」


…子供でも、やっぱり女なんだなあ。
有無を言わせない笑顔。
やっぱ女っておっかない、とルシファードは密かに思う。


「スクリーングラスをしてないと、色々と支障があって困る。
 …俺は顔面犯罪者なんでね」
とちょっと自虐的に言う。

「顔面犯罪者!そう言われると余計気になるってば!
 ねえ!見たい!ちょっとだけでもいいから」
(カカシもそうだけど、隠されてたりして見れないとなると余計気になるっていうのが人の性だっつーの)
「ダーメ。俺は顔の安売りはしないの。本当に困るんだって」
ほら、ケーキあげるから我慢して、と必殺の美声で囁く。
(ケーキよりもその声が反則だっつーの!…もらうけど)

「サスケ君もどう?」
「オレは納豆と甘いものは苦手だ」
「そんなに甘くはしてないから大丈夫だと思うよ」
ためしに一口…とまたもや必殺の美声で微笑とセットで囁く。
これには甘いものが苦手と言っていたサスケもたまらずケーキを受け取り、少し戸惑いながらも口にする。
「…うまい…」
そういうサスケの顔は少し赤く染まっていた。

ルシファードの<おいしいケーキで誤魔化す作戦>は次のターゲットをサクラに定めていた。
「ケーキはもちろんいただきます。わーおいしそうvv」
とあっさり陥落できたと思ったルシファードだったが、

「顔を隠す仲間ということで、カカシ先生と同類の変態だと思ってもいいですか?」
にっこりと言うサクラの言葉にルシファードが固まる。
「…う、うーん…」

(サクラちゃん怖え…。でももう一息!)
サクラの活躍に期待しつつ、ナルトはケーキを頬張る。

「ルシファードさんはカカシ先生と同じホモで色情狂でショタコンということでいいですか?」
「サクラ…それは言いすぎでしょ…」
カカシがサクラを非難するがサクラはカカシなど当然無視する。


「……顔を見せればいいんだな。…少しだけだぞ」
あーやっぱり、カカシ先生と同類は嫌なんだ…と子供たちは思った。
「ちょっと、あんたそれどういうこと?
 いくらなんでも今日あったばっかの人間に失礼……」


話している途中でカカシの言葉が止まる。
スクリーングラスをはずしたルシファードの素顔を見て固まってしまったのだ。
ナルトは思わず食べかけのケーキを皿に落としてしまった。
サスケとサクラも動きが完全に止まった。






ルシファードの素顔から目が離せない。







目が、あまりに気持ちよい美貌から視線を逸らすことを拒否している。







永遠にも、刹那にも感じられる時間。








「はい、おしまい」
そう言ってルシファードが再びスクリーングラスをかけた。


その瞬間ナルトに意識が戻った。
「すげえ…。なんか、目がすごくおいしかったって言ってる気分。
たぶん、オレのお色気の術の何十倍も威力あるってばよ」

ナルトに数秒遅れてサスケ、さらに遅れてサクラが正気に戻る。
「あんたが家の中でもスクリーングラスをしているわけがわかった」

「ルシファードさんみたいに見た瞬間、あまりに気持ちが良くて思考も動作も金縛りにあう美貌なんて初めてみたわ。
私たちは眼福でよかったけど、確かに素顔をさらすとルシファードさんは色々と困りそうね。
素顔を見せるたび、周りに固まられちゃうんじゃ」

「まずは褒めてくれてありがとう。あと、苦労もわかってくれて助かるよ。
でも、ナルト君やサスケ君やサクラちゃんみたいに、自分ですぐに正気に戻ってくれる人がたまにいてくれて助かるよ」
そういってカカシのほうを見る。

「カカシ先生!!いつまで呆けてるんだってばよ!」
(てめえはダレでもいいのか!てか上忍のくせに、いつまでも金縛ってるんじゃねえっての!)
ナルトの強い呼びかけにカカシもようやく自分を取り戻した。
「…はっ…!あーすいません。ははは。
もう、なんかびっくりしちゃって。
こんなに驚いたのは初めてですよ」





それからは、さっきまで怪しいとか色々言っていたのが嘘のようにナルト達はルシファードと打ち解けた。

お茶を飲みながら、サクラはルシファードと料理を教えてもらう約束を取りつけ、
サスケは変わった魅力と知識、考え方に興味を持ったようだった。
カカシも、ルシファードがナルトとそういう関係になる気はまったくないことを確認できてからはすっかり息統合。
今度飲みに行きましょうという約束までしてしまった。





皆が帰った後。

喉を潤そうかと冷蔵庫を開けて、ナルトは驚いた。
どう見ても、今日渡した金額だけでは買えないような食材が収納されていた。

「ねえ、ルシファードさん、これどうしたの?
オレ、こんなに買えるくらいの大金渡してなかったてばよ?」

「お、そうだった。
コレ返すよ。使わなかったんだ。」
そう言ってルシファードはナルトに今朝預かった現金をそのまま返した。

「え!全然使ってないじゃん!じゃ、一体どうして!?
…はっ!まさかルシファードさん!
犯罪はダメだってばよ!」
「こらこら、人聞きの悪いこと言わないの。」
苦笑しながらルシファードが話す。
「今日、町歩いてたら色々あってなあ。
やっぱ、俺ってトラブルメーカーなのかも、と思った一日だったよ。
で、なんだかんだでお金の心配はなくなったってわけ。」

「…どういうこと?」




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