侵入者!? 5 〜ルシファードの1日〜  


洗濯、掃除など一通りの家事を終え、そろそろ買い物に行くかとルシファードはナルトの家を出た。


「にしても、本当に変わった風景だよなあ。」
通りを歩きながら、ルシファードはつぶやいた。

先程から、女性を中心にルシファードの顔を見ては顔を赤らめたり、ひそひそ話をするという状況だったが、人の注目を集めるのに慣れているルシファードは、またか、とは思うもののまったく気にせず町並みを観察する。


あ、崖に顔彫ってある。
左から三番目の顔に見覚えあるなあ。
ああ、三代目の火影様か。
ということは、あれは歴代火影になるのか…。

木の葉の里の町中を歩きながら、やっぱり異世界に来ちゃったのね、と今更ながら実感する。


色々見て回る前に、食料店の場所はチェックしとかないとな。
お、あった。これは肉屋か。野菜も発見。
食料品は店が別れてるのか?効率の点でどうかと思うなあ。

できれば、着換えも、…下着だけでも欲しいところだけど、
果たして、本当にヒモになってよいものか…

とりあえず値段だけでも見ておこうと衣類店に近付こうとしたとき、ドンと男がぶつかってきた。

「ちゃんと前見て歩けや。兄ちゃん!」
そういって男は立ち去ろうとしたが、男の腕をルシファードが掴んだ

「ぶつかったのはいいとしても、人の財布をスルのはいけないなあ。
大人しく返せば今回は見逃してやることも考えないでもないぜ?」

「ふざけんな!おれに塗れ衣着せる気か!?てめえ!」
そう言って男が殴りかかってくる。

ひょいとルシファードは余裕をもって避ける。

「塗れ衣って事実だろう?」

次々と繰り出される拳や蹴りをかわしながら、呆れた口調で話す。
「こっちは毎日筋肉ダルマどもの相手してるんだ。
拳で物を言わそうっていうならもっと相手を選ぶんだな。」
突撃してきた男を避けた瞬間、男の頭を上から押さえつけ地面に叩きつける。
同時に男の腕を後ろ手に捻り上げた。

「財布は返してもらう」

ルシファードは腕の痛みに悲鳴を上げる男を無視して財布を取り返した。

「さあ、警察…はあるのかわからないけど行くぞ。」
ルシファードは通行人に治安維持に関する機関の場所を尋ね(頬を赤らめながら教えてくれた)、男を連行した。


連行した先は任務受付所。
任務受付窓口は任務の受付以外に治安に関する業務なども行っており、総務課と言った所のようだ。


「お手柄ですね。忍者でもない一般人が前科8犯の手配犯を捕まえるなんて。
任務としたらCランクぐらいですよ」
髪をきっちりと纏め上げた、鼻の上に一文字に引かれた傷を持つ男が、人好きのする笑顔でそう言った。
「手配書が回ってますから、懸賞金が授与されます。何か身分証明書みたいなもの持っていますか?」
「身分証明……。コレでいいですか?」
そういって、昨日発行されたばかりの火影印が押された、滞在許可証を見せる。
それを見て、受付の男は軽く目を見開く。
「火影様直々の許可証…。ああ、あなたが!ルシファードさんですか。
火影様から聞きましたよ。
ナルトのところにいるそうですね。今度挨拶に行こうと思っていたんですよ。
会えてちょうどよかった」
「ナルトくんをご存知なんですか?」
「ええ、そりゃあもう。
あいつにはアカデミー時代散々手を焼かされましたよ。イタズラが好きなやつでしてね」
しかし、そう言う彼の目は優しく、決してナルトのことを悪く思っていないのが一目でわかる。例えて言うなら親や兄のように親しみをもった目だった。
「オレはうみのイルカと言います。アカデミー時代ナルトの担任をしていました」
「ああ、それで。申し遅れました。ルシファード・オスカーシュタインと言います」

ルシファードはしばらくイルカと話をした。
話題となるのはナルトの話。

ナルトくん、いい先生を持ってるじゃねーか。
ルシファードは少し話をしただけでイルカに対し好感を持っていた。

懸賞金を受け取り、そろそろ帰ろうとしたとき、

「イルカ先生!大変です!またパソコンがおかしくなりましたよ。
もう困っちゃいますよねー。
業務の合理化を図るはずが、こうも調子悪いんじゃ仕事が滞って仕方ないですよ」
イルカの同僚らしい男がイルカに話しかけた。

お!ラッキー!この世界にもパソコンがあるのか?
スペックはどうなってるんだろう。パソオタの血が騒ぐ〜。
言語とか、システムとかにあまり違いがなければいいが。
その場合、俺がカスタマイズすれば元の世界へ戻れる日が1歩近づくかもな。

「あの、すみません。
よければ、俺にそのパソコン見せてもらえませんか?
お役に立てるかもしれません」
「パソコンのことわかるんですか?そりゃ、願ったりですけど。
火影様が年寄りのくせしてって失言でした。忘れてくださいね。
まあ、火影様が新しい物好きで、パソコンを導入することになったんですけど、私たちは皆パソコンなんか触った事もないような人間ばかりで、困ってたんですよ。
あ、文章ファイルとかは見ないようにしてくださいね。守秘義務とかありますから」
「わかりました」

パソコンの中身をチェックすると、都合のいいことに、スペックはかなりの旧型だが、C言語など、システム的なことはほとんど変わらず、ルシファードは存分に実力を発揮することができた。
システムのエラーもすぐに発見でき、修正できた。
ついでに、かなり無駄が大きかったプログラムも大幅に書き換え、パソコンのグレードはかなり上がり、同じものとは思えないような仕上がりとなった。

ルシファードの手際の良さや、タイピングの早さ、次々と滝のように流れていくモニターの文字列に半ば呆然としながら、イルカたちはルシファードの仕事振りを見ていた。

「うーん。ここまで旧型でスペックが低いと、修正のしがいがあるなあ」
心底嬉しそうにルシファードが言う。
「とりあえず、これで問題は解決っと」

「す・すごいですね!ルシファードさん!
短い期間でもいいので、ここで働きませんか?
職員へのパソコン教室の教員とか、パソコンの技術とかシステム面向上に協力とか、仕事はたくさんあります!ねえ、いいですよね、3代目!」
イルカが3代目、と問いかけた先を見れば、
「「「火影様!?」」」
いつの間に!全く気づかなかった…。神出鬼没なお人だ。まさに妖怪…。おいこら、それは言うなって!など様々な呟きであたりがざわついた。

そのざわめきに対し、3代目火影は何か言いたそうな様子もみられたが、結局あきらめたようだ。
「いいじゃろう。こちらからぜひ頼みたい、どうかのルシファードさん?」

職を得られるという話はルシファードにとって否やはない。
しかも、仕事で思う存分パソコンをいじれるというのは、まさに趣味と実益を兼ねているので申し分ない。

そして何より重要だったのが、ヒモ脱出!


こうして、ルシファードは木の葉の里にいる間は、安定した収入(しかも技術職ということでかなり高給)を得られることになったのだった。
しかも、契約金付きという破格の扱い。





仕事は明日からという事に決まり、とりあえず、今日は帰ることとなった。


食料と着換えを購入。しかもそれぞれの店で、お兄さんカッコイイからオマケしちゃうvvなどと言われ、これでもかという位の安値、さらにはオマケ付きでの買い物だった。

しかし、ただより怖い物はないという言葉のように、キスを無理やり迫られたりと精神的なダメージはあったようだった。
ルシファードも場数は踏んでいるため、何とか難は逃れていたが、荷物が多くなってきた後半の買い物は少し苦労したようだった。

「世界は違っても、女性のたくましさは変わらねえ…か……」
というのが、買い物の感想だった。


買い物を終え、帰ろうとしたルシファードだったがそこで御茶屋を発見し、一服することとなった。
しかし、その寄り道で、ルシファードにもう一つトラブルが起きることとなった。

先ほど捕まえたスリの仲間が報復をしかけてきたのだ。
「兄貴の仇だ!皆!やっちまえ!」

しかし、所詮下っ端。特殊な訓練も受けていないようなチンピラが15人程度の集団で現れたところで、ルシファードの敵ではない。
あっという間に全員を気絶させた。

「おお!すげえぜ!兄ちゃん!」
「ステキよー!!」
「カッコイイvvvvv」と次々賞賛を受ける。
と同時に、色々な品物や金を渡された。

見世物じゃないんだけどなあ……とルシファードは少し複雑な心境だった。

そのころ、里の見回りの忍者が到着した。
その忍者も、一人でスゴイですねーそこらの下忍よりよほど強いんじゃないですか?ははは。と陽気に笑いながらルシファードを賞賛した。
そして、ルシファードは本日2度目の懸賞金を受け取り、忍者は窃盗集団を縄でグルグル巻きにし、荷台に積んで連れていった。






「という感じで、ようやく帰宅したというわけ。こんなに濃い1日はなかなかないだろうな」
少し遠い目をしてルシファードが言った。
「本当に濃い1日だってばよ…」
ナルトも呆れてそう答えた。


「あ、なんか色々貰ったとかいうやつはどうしたんだってば?」
「ああ、奥の部屋をちょっと借りたよ。後でちゃんと整理するから」
ナルトはルシファードの言う奥の部屋を見て驚いた。
「なんだコレー!!」
統一性のない物・物・物の数々が大量に放置されていたのだった。




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ナルトの世界にホントにパソがあるかなんてわかりません。
私自身はパソコンについてあまり詳しくないので、
その辺の表現はおかしいかもしれませんが多めに見てやってください。
あんまりひどいミスがあったらメールでこっそり教えて下さい(汗)。
今さらですが、ナルトの部屋の構造とか、原作とは大分違います。
こっちの方がずっと広いようですねー