侵入者!? 7 〜休日〜 今日はナルトの任務はなく、ルシファードの仕事も休み。 そこで今日は2人で買い物に行くことになった。 買い物に行く前…… 「ルシファードさん、見てvお色気の術!」 ボフン 印を組んだナルトの体が煙に包まれ、煙が晴れて現れたのはスタイル抜群の美女。 しかも全裸で男を誘う仕草、ポーズ付き。 お色気の術、かつて里の純情な大人の男性を血の海に沈めた恐ろしい忍術である(笑)。 その男性にとっては嬉しくも恥ずかしくもある恐ろしい技を目のあたりにしたルシファードの反応といえば…… 「うーん、ステキな格好だとは思うけど、お腹壊すぞ…?」 ナルトのお色気姿を見て一瞬驚きに目を見開いたルシファードだったが、すぐに心配そうな様子になり、発した第一声がコレだった。 予想外のルシファードの反応に、ナルトはふざけているのかと思ったが、すぐにルシファードが心底心配しているのだとわかった。 ボフン もう一度印を組み、元の姿にナルトは戻った。 その表情は意外そうに驚いた様子であるものの、ちょっとつまらなそうでもあった。 「あ、戻った。“お色気の術”ってことは忍術なのか。変わった術だな。読ませてもらった忍術書では見たことないけど、変化の術の一種?」 ルシファードは現在働いている任務受付所にすっかりとけこんでおり、同僚の忍者や、受付所を訪れる忍者たちから色んな巻物や忍術書を見せてもらったり、時には術を実演してもらったりしているのだ。 「まあね。で、オレのオリジナルの術なんだけど……大人の男の人で、ここまで効果がなかったのは初めてだってばよ。」 「まあ、魅力的な姿だとは思うけど、女の裸ってだけで動揺するほどウブでも、経験がないわけでもねえしなあ。」 そういうルシファードの表情は複雑そうな様子であった。 ルシファードの脳裏に、羊の皮をかぶった雌狼さんたちとの過去の思い出がよみがえる。……俺、本当よく女嫌いにならなかったよなあ……と内心思った。 「え〜。イルカ先生や火影のじっちゃんとかはコレでノックダウン!だったってばよ!?」 (ウブでもないし、経験もあるって、ルシファードさんって、どんな生活送ってきたんだよ…)とナルトは思ったがそういう雰囲気は出さず、子供らしく不思議そうに尋ねた。 「え!?…ノックダウンって………イルカ先生は純情そうだもんな……火影のじいさんには刺激が強すぎたのか?年寄りだしなあ…。でも、“とか”ってそんなに引っかかる人多いのか…?」 ……忍者ってそんなに禁欲生活してるのか……??? 忍者って忍耐の人? とルシファードは忍者に思いを寄せたのだった。 「ふざけるのはこの辺にして、さっさと買い物に行くってば。」 ボフン 再びナルトはお色気の術を使った。 ただし今度はちゃんと服を着ている。 「じゃあ、出発!」 ナルトは元気に玄関に向かおうとするが、 「なんで、女の子の格好?…趣味?」 というルシファードの言葉にナルトは、こけた。 「違う!!この姿のほうが色々便利なんだって!オマケもらえたり!」 (一番の目的は里の人間から危害を加えられずにすむからだけどな)と心の中で自虐的に笑った。 こうしてナルトとルシファードはようやく買い物に出かけたのだった。 「おお!お姉さん、久しぶりだねえ。今日はカッコイイ彼氏連れかい?よし!これとこれオマケしちゃおう!」 「え!?本当!?さすがおじさんv男前vv」 「いやーうれしいねえ!じゃあ、これもつけちゃおうv」 「おじさん、ありがとうvv大好きvvv」 このような感じで、盛大にオマケをつけてもらいながら買い物は進められた。 ナルトの買い物技を目のあたりにして、ルシファードは「色々便利か…なるほど。」と納得した。 「ナルトくん、女の子の演技うまいね。」 「一人暮らしの知恵だってばよ!」 「知恵?知恵っていうのかなあ……。」 女の子の姿で得をする経験が行き過ぎて、将来そういう道に進まなければいいけど…まあ、それでナルト君が後悔しなければ何も言えることはないけど…うーん……と、ルシファードはナルトの将来を密かに心配するのだった。 本日の買い物内容 ・ 食料品(今日の夕食はサーモンとトマトクリームのスパゲッティと野菜スープ、鶏の唐揚げ、ほうれん草のガーリックサラダ、デザートにリンゴと蜂蜜のケーキだそうだ。) ・ 衣類(ルシファードさんのシャツと下着、オレの服) ・ 機械類(ルシファードさんいわく、PCの処理能力を上げるものと、作成中の発信機?の追加部品らしい) ・ オマケもろもろ 買い物を終え、帰り道。 ナルトはすでに術を解いていつもどおりの姿になっていた。 ルシファードと他愛もない会話を楽しみながら歩く。 ある演習場の付近を通りかかった時イルカと会った。 「よ!ナルト!ルシファードさんも。こんにちは。 今日は休暇でしたね。2人で買い物ですか?」 あいかわらずの人好きのする笑顔でイルカが言った。 「ええ。今終わったところです。」とルシファード。 「イルカ先生ってばここで何してんの?まだアカデミーの時間じゃん!あ!先生てばサボってるんでしょ!?」 「あのなー、ナルト、お前じゃあるまいし。演習の片付けだよ。終わったから今からアカデミーに戻るところなの!」 苦笑しながらイルカがナルトの失礼な言葉に対して反論する。 「ふーん。…」 うなずいている途中、ナルトが何かを思いついたようににこーっと笑う。 「イルカ先生v」 「どうした?ナル……!」 ボフン 「うっふ〜んvvvvv」 お色気の術発動。 ナルト(お色気)が目を潤ませながら腕をイルカの首に絡ませた。 顔をイルカに近づけ、豊満な胸を密着させる。 ボッと瞬間的に顔を真っ赤にしてイルカの体が後方へと傾いた。 「あっ。」 ナルトの突然の行動に驚いていたルシファードだったが、とっさに倒れてきたイルカを支える。 ちなみに、このときナルトはお色気の術を解除した。 「イルカ先生大丈夫ですか?」 「…す、すいませんルシファードさん!」 鼻を押さえながらイルカはすばやく体勢を整えてルシファードに謝り、ナルトに向き直った。 「なーるーとー、またお前はくだらん術を…!」 「あはは!効果抜群!やっぱ、お色気の術はこうじゃないとね!」 「馬鹿もん!」 ナルトの頭にチョップをくらわす。 しかし、本気ではやらないので、痛みはない。 「本当にお前ってやつは……ああ、もう戻らないと。それじゃあ、ルシファードさん。お恥ずかしいところを…すみませんでした。じゃあな、ナルト。もうやるなよ!」 イルカは鼻を押さえながら去っていった。 ときおり首の後ろを叩くのが見えた。 ……鼻血……? イルカを見送った後、ナルトが嬉しそうにルシファードに話しかける。 「ね?お色気の術、効果あったでしょ?」 「あ、ああ…。それを証明したくてやったのか?」 「もちろんだってばよ!」 イルカ先生お気の毒……。 |