ようやく気づいた自分の気持ち。
それと同時にわかったこと。
――ヒナタもきっと自分と同じ気持ちでいるということ。
確信に近いこの考え。
これはこれからのナルトの行動に大きな勇気を与えた。
* * 彼女のイメージ
「今日はお疲れのところ、お付き合い頂いてありがとうございました」
「いいって。前途有望な後輩の成長はこっちも願ったりだし。少し遅くなっちゃったね。よかったら…
「ヒナタ!」
どうやらヒナタの職場の先輩にあたるらしい男の言葉を遮ったのは、忍びらしく突然やってきたナルトの声。
「あ、ナルト君…/////」
ナルトの姿と声に嬉しそうに顔をほころばすヒナタ。
「ヒナタ、今、帰り?」
「うん。ナルト君も?」
「そうだってば。家まで送るよ」
にっこりヒナタに笑いかけて、そしてヒナタのすぐ後にいる男を見る。
「ヒナタの先輩?こんばんは」
満面の愛想笑いで挨拶する。
ヒナタは気づいていなかったかもしれないが、この男は先程ヒナタの肩に手を回そうとしていた。
ナルトが乱入しなければそうなっていただろう。
ナルトの中の『要注意人物リスト』にヒナタの先輩にあたるこの男の顔がはっきりと刻まれた。
「…こんばんは」
男は、ヒナタとなかなかにいい雰囲気だったのを邪魔されたからか、ナルトから無言の圧力を感じたからなのか、それとも目の前にいるのがあの『うずまきナルト』だからなのか、理由は不明だが、僅かに眉を寄せながら挨拶を返した。
「あの、今日は本当にありがとうございました」
笑顔で礼を言い、先輩に頭を下げるヒナタ。
「ああ、また明日ね」
男も笑顔で返した。
「ヒナタ、帰ろう?」
そう言ってナルトはヒナタの手を掴んで歩き出した。
そのナルトの行動にヒナタは赤くなった。
「な、ナルト君、手……/////」
手をつないで歩く2人を見送る男が、少々複雑な心境だったのをヒナタは知らない。
「ヒナタ、ちょっと遠回りしてもいい?」
「え、……うん///」
ナルトの提案に頷くヒナタ。
なんだか、ナルト君とデ、デートしてるみたい…////
ヒナタは喜びにひたっていた。
「うわあ…。ナルト君!すごいね…!コスモスがこんなに!…きれい…」
ナルトの言う『ちょっと遠回り』で訪れた場所。
そこには色とりどりのコスモスが咲き乱れていた。
大分日が暮れていたため、ナルトがチャクラでぼんやりと自分たちの周囲を照らす。
明るい秋の日差しの中で見るコスモスとは違った趣がそこにはあった。
「だろ?ここさ、忍者じゃねーと来にくい場所だからさ、結構穴場なんだってばよ」
「…本当だね」
この場所に至るまでの行程を振り返り、納得してくすりと笑うヒナタ。
舗装された道などなく、草木が生い茂り、岩が所々に鎮座しているのみであった。
木の葉の里は隠れ里であり、観光地ではない。
住民が住むあたりはしっかり整備されているものの、少し脇道にそれただけで自然そのままの風景が姿を現すということがままある。
ここもその一つのようだった。
だが、一般人には困難な道なき道だろうと、チャクラで吸着して上下左右関係なく足場を確保でき、卓越した移動能力をもつ忍にとっては問題はない。
笑顔の絶えないヒナタ。
コスモスに駆け寄り、家に活けるのだと言って、コスモスを摘む。
そんな楽しそうなヒナタの様子を見て、ナルトの顔もほころぶ。
「気に入ってくれてよかった」
「うん!ナルトくん、ありがとう…!」
「好き、なんだ」
「うん!コスモス、こんなにキレイだものね…!」
「…コスモスもだけど、ヒナタのことが、さ」
「え…?」
ナルトの思いがけない言葉に驚くヒナタ。
驚きに、手に持っていたコスモスが零れ落ちる。
ヒナタには珍しくナルトの顔を注視する。
「な、ナルトくん……今、なんて…?」
「ヒナタのことが、好き」
ナルトはもう一度はっきりと、ゆっくりと答えた。
見たことがないような優しい笑顔で。
「…あ…」
その瞬間ヒナタの瞳から大粒の涙が流れ落ちた。
それに驚いたのがナルト。
「ヒ、ヒナタ!?どうしたんだってば!?」
もしかして嫌だったのか?と心配になり、オロオロするナルト。
「ごめん、ナルトくん…。違うの…。…うれしくて…うれしすぎて……」
今、落ち着くから…。すぐ止まると思うから…。と嬉し泣きするヒナタにナルトは愛しさがこみ上げる。
「ヒナタ……」
ナルトはヒナタを優しく抱きしめた。
「好き、大好き、ヒナタのことが」
囁く。
「ナルトくん…」
ヒナタの腕がおずおずとナルトの背中にまわされる。
「私も、大好きだよ……///」
抱きしめあう腕を緩める。
2人の目線が合い、見つめあう。
少し照れたような、でも幸せをかみしめるような優しい表情で微笑みあった。
――ヒナタはオレの、愛しい恋人。
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またまた放置だったナルヒナ連載。
てかいろんな物が放置されっぱなしという説も…あいたたた。
まあ、何はともあれ一段落です。
読みきりの「秋桜」と何気にリンクさせてみたり。
だから、2人がこの後どうなるの!?っていうのは「秋桜」の通りです。
にしても何でしょうか。
何年前の少女漫画でしょうか。
とってもべったべたです。
甘いです。
書いててスゲー恥ずかしいのなんの(笑)
も、もうこれ以上は無理…!
最近の出会いからベッドインまで読みきりでやっちゃうような少女漫画が溢れている中で、どれだけの人に受け入れられるやら。
2004/10/31