NARUTO
〜ETERNAL NIGHT〜


第1話


草木も眠る丑三つ時、木々の上を走る二つの人影があった。
その人影の片方の肩には少女が担がれていた。
不意に少女を担いでいる人影がしゃべった。
「くっくっく・・・楽な仕事だぜ。こんな小娘を攫ってくるだけで100万両だぜ。笑いが止まんねーよ。」
「くっくっく、そうだな。さらには幹部にまでしてくれるらしいからな。本当に笑いが止まらんぜ・・・・おっとそろそろ国境付近だな。今日はここで朝まで過ごすぞ。」
もう片方の人影がそう言い、夜営の準備を始めた。二つの人影の額には木の葉の里の額あてが巻かれていた。

「しかし、さすがは日向一族の末娘だ・・・さぞかし将来は美人になっただろうな・・・どうせ明日からは毎日実験ズケのモルモットになるんだ。ここらで男の味でも教えておくか・・・・時間もまだまだたっぷりあるからな。」
「ちっ、変態が・・・」
舌なめずりをしながら少女に近づいている片割れに多少の嫌悪感を覚えるが、止めないこの男も所詮は同類だろう。
しかし、この時男たちは気づいていなかった。
自分たちが来た方向からすさまじい速度で近づく気配に・・・

「さ〜て、どんな味がするかな・・・・」
男が少女に手を伸ばした瞬間、男の両腕の肘から先が切り落とされ、少女の姿が消えた。
そして、常人なら発狂死するほどの殺気が辺りを包んだ。
男達の近くの木の上から身体が震えるほど冷たい声が聞こえた。


「・・・・貴様ら、楽に死ねると思うなよ・・・・」


そこには身長は子供並みの狐の面を被った暗部が少女を抱きかかえて立っていた。
声の正体の暗部の姿を見つけると同時に、残ったもう一人の男が多量の手裏剣を暗部に向かって投げた。

「だまれ糞餓鬼・・・これでも喰らいやがれ!!」
男は手裏剣術に自信があるらしい。
確かに一人で投げたとは思えない量の手裏剣で、速度も相当なものだった。
しかも無造作に投げたようで、急所と言う急所に狙いが定められていた。
当たればただではすまないことは確実だろう。

だが、暗部は少女を抱きかかえているにもかかわらず、眼にも映らぬ速度で印を結び終えていた。

「水遁、水陣壁。」
多量のの手裏剣が暗部に降り注ぐと思われた瞬間、暗部の身体の周りを水の壁が取り囲み手裏剣はすべてはじかれた。
この一瞬のやり取りで男たちは相手と自分達との力量の差を感じ取ってしまい、心の底から恐怖した。
そして男たちはなりふり構わず逃げ出した。
しかしすぐに回り込んだ暗部が木々をざわつかせるほどの怒気を放出しながらわざと男たちにも見える速度で印を結びながらしゃべった。

「怖いだろ・・・・なりふりかまわず逃げ出したくなるほどのその恐怖を・・・・頭の隅々まで叩き込んで消えろ!!」

印を結び終えた暗部の身体からさらにすさまじいチャクラが放出された。

「口寄せ、亡者召喚!!」

術が発動された瞬間、男達の周りに人の形をした炎が無数に現れ、少しずつ男達に近づいていった。
それは老若男女様々な形をしており、その中には男達が知っている顔もあった。

「ひ・・・ひいいいい・・・・・く・・・・・来るな〜・・・・来ないでくれ〜・・・・」

男たちはすでに腰を抜かしておりなんとか逃げようと後ずさるがすぐに木に進路をはばかれ逃げ道は失っていた。
「冥土の土産に教えてやる。そいつらは貴様らに殺された人々の怨念を炎で包み形にしたものだ。他人の命をなんとも思わない貴様らにはお似合いの末路だな。」
「う・・・あ・・・あ・・・あ・・・あ・・・・・・・・ぎゃあああああああああ・・・・・・」
次々に怨念の炎が男達に取り付き、最初は軽く肌を焼く程度だったが次第に男達の身体が燃え始め最後は遥か上空にまで上る火柱となり男達の身体は跡形もなくこの世から消え、残ったのは男たちの肉の焼けた臭いだけだった。





その臭いに反応したのか少女が目を覚ました。

「気がついたか、ハナビ。」

それに気づいた暗部は狐の面を取り優しく微笑みながらしゃべった。
その姿は金髪、碧眼の少年だった。
「・・・・・ナルト兄さま・・・・ここは?・・・・あの怖い人達は?」
「ここは火の国の国境付近だ。ハナビを攫おうとした奴等はおれが退治したからもう大丈夫だ。」
「うん。ありがとう。ナルト兄さ・・・・・ま」
意識がはっきりしてきたハナビは、今自分がどんな体勢でいるか気づき、顔が林檎の様に真っ赤になった。
ナルトはずっとハナビを抱きかかえていた。
俗に言う「お姫様抱っこ」の状態だったからだ。
さらにナルトとハナビの顔の距離は二十センチも離れていなかった。
小さい頃から姉のヒナタと供に自分をかわいがってくれたナルトに淡い恋心を抱いていたハナビにとって、この体勢は嬉しすぎて心底混乱していた。

(きゃ〜ナルト兄さまの顔がこんなに近くに〜しかもすごい優しい笑顔で・・・・・あう〜幸せすぎて何も考えられないよ〜)
顔を真っ赤にして思考がフリーズしているハナビは、ナルトの顔をずっと見つめていることに気づかない。
しかし当のナルトはというと
(どうしたんだ?急に黙っておれの顔を見るなんて・・・・何か顔についてるのか?)


超鈍感だった。


ちがう意味でナルトの時も止まっている頃、ハナビの思考は最終段階にまで達していた。

(こんなチャンスは一生に一度あるかないか。ナルト兄さまにはすでに姉さまという正妻がいるから私は愛人の座を・・・・・)

ハナビの思考はどうやら危ない方向に向かっていたようだ。そしてついにハナビが意を決してナルトに告白した。

「ナルト兄さま・・・・・私を・・・・ナルト兄さまの愛人にしてください!!

日向ハナビ、七歳にして愛人宣言だった。
告白されたナルトは凍りついていた。
その後木の葉の里の日向家までハナビを送っていったのだが、どうやって帰ってきたのか、ナルトはまったく覚えていなかった。






おまけ

ハナビを日向家に送ったナルトは、日向党首のヒアシからお礼もかねて朝食に招待された。
しかし招待されたナルトの顔は青ざめていた。
なぜならナルトの席の右にはヒナタ、左にはハナビと挟まれ、
「ナルト君、食べさせてあげる。はい、あ〜ん」
とヒナタに積極的に食べさせられれば、
「ナルト兄さま、これどうぞ食べてください。」
と今度はハナビがちょっと控えめに食べさせてくる。
さらに姉妹の間では見えない火花が飛び交っていて、食事の間ナルトは生きた心地がしなかった。





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第一話いただきましたvv
シリアスと思いきや、後半ラブコメです!
しかも、スレナルヒナと思っていたら相手はハナビ!
驚きました。
にしても、ハナビ、危ない7歳です。
お姉さんはあなたの将来が心配です(笑)
大笑いさせていただきましたvv