NARUTO
〜ETERNAL NIGHT〜


第2話


人生で一番辛い朝食を済ませたナルトは、任務集終了の報告をしに火影の所に来ていた。
その表情は同情したくなるほどやつれていた。

その表情を見た火影は呆れながら言った。
「・・・・・一晩でえらくやつれたのう。」
「・・・・言うな。」
ナルトの言葉を聞いた三代目火影はにんまりと笑いながらしゃべった。
「ワシなら喜ぶがのう。両手に花だったではないか。」
「見てたのか!!このくそジジイ!!いいかげんその悪趣味を直せ!!」
「報告もせずにのんびりとしている奴が悪いわ。」
ナルトは悪びれずに言う火影の言葉に反論できなかった。

「時にナルトよ・・・・もう少しでアカデミーが始まる時間じゃが、行かんでいいのか?確か今日は卒業試験のはずじゃろ。」
ナルトは火影の言葉に反応し時計を見ると、あと五分で遅刻となる時間だった。
「やっべぇ・・・・遅刻だぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・」
ナルトは顔を青ざめながら目にも留まらない速さで火影の部屋から出て行き、火影は苦笑しながらナルトが出て行った方向を見ていた。







「ぜえ、ぜえ・・・・ま、間に合ったぁ・・・・」
五分後、アカデミーの教室には息を切らせてへばっているナルトがいた。

「よう、ナルト。今日はいつもより危なかったじゃね〜か。」
「だ、大丈夫?ナルト君。」
そんなナルトに話しかけたのは、全身からヤル気なしという雰囲気をだしているシカマルと、おどおどしながらもナルトのことを心配しているヒナタだった。

「だ、大丈夫・・・・だってばよ。」



ナルトは自分の身を守るため、普段はドベでいたずら好きの少年の仮面を被っており、仮面を被っている間は語尾に口癖を入れることにナルトは決めていた。

そしてナルトの本当の素顔を知っているのは、限られたごく一部の人間だけだった。





「よ〜し、授業を始めるぞ。全員席につけ〜。」
ナルト達が話をしていると彼らの担任である海野イルカが教室に入ってきた。
教室にいた生徒達は一斉に自分達の席に座った。
全員が席に着いたことを確認したイルカは生徒達に向かって、
「今から試験を始める。試験は分身の術をしてもらう。名前を呼んだ順に隣の部屋に来るんだぞ。では、うずまきナルト。」
「おっしゃあ!!」




ナルトが試験の部屋に入るとアカデミーの教師が二人いた。
「では、始め!!」
「・・・・・・分身の術!!」
・・・・・・ボフン・・・!
ナルトが術を発動させるとナルトの姿が三人に増えた。
ドベのイメージを守るため、印は術がなんとか発動する限界までゆっくりと結び、表情はまさに『いっぱいいっぱい』というものを作る。
術の発動もワンテンポ遅らすという徹底ぶり。
(アカデミーをとりあえず卒業するだけなら、この程度でも十分だろう。)
そう予測してのナルトの行動だったが・・・・・・
・・・・・・。
反応がない。
(目測を誤ったか?)
内心、少々焦るナルト。

そのとき、イルカがにっこり笑って言った。
「ナルト、分身の術は苦手なのによくがんばったな。だが!術の発動に時間がかかりすぎている。今後もしっかり修行するように!・・・それをしっかり守ると約束するなら、合格だ!」
「守る守る!もちろんだってば!オレってば修行大好き!!」
ということで、ドベのナルトはアカデミーをなんとか卒業することができたのだった。
その後も試験は予定どおり進み、次の日からの予定を説明され、その日は解散になった。







アカデミーからの帰り道、ナルトはヒナタと一緒に帰っていた。

「ナルト君、よかったね。二人とも合格できて。」
「ああ。でも俺やヒナタの実力なら合格して当然のレベルだからな。楽勝だったな(一瞬焦ったけど)。」
実はナルトが暗部になれるほどの厳しい修行をしていた時、ヒナタも一緒に厳しい修行をしていたので、すでに下忍のレベルを大きく超え中忍のレベルに達していた。
「でもやっぱり私は少し緊張したかな。あ、そうだ!ナルト君、夕食私の家で食べない?お父様が合格祝いをするって言ってるの。」

ヒナタの言葉を聴いた瞬間、ナルトは顔を青ざめた。全身からは冷や汗が大量に噴き出す。そしてガタガタと震えだした。



朝の恐怖が脳裏に蘇ったからである。



そんなナルトの表情を見たヒナタは、瞳に涙をためながら上目使いにナルトに聞いた。
「ナルト君、・・・・駄目・・・・かな?」

(ヒナタ・・・・その表情・・・・反則だぞ。)
ナルトは顔を真っ赤にさせヒナタから顔を背けていた。
そんなナルトを見てヒナタは顔を傾けながら、ナルトが何故自分の顔を見てくれないのか疑問に思っていた。
しかもその仕草でナルトがさらに顔を真っ赤にさせたのにも気づいていない。
・・・ヒナタも、ナルト同様かなり鈍かったようだ。
その後、ヒナタの願いを当然断りきれず、朝同様胃に穴が開く思いで食事をすることになったことは言うまでもない。







「俺、忍者として死ぬんじゃなく、胃に穴が開いて死ぬかもとあのとき心底思った・・・・」
と後にナルトは語った。





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第二話いただきましたvv
前回からのコメディな雰囲気が続いていて、楽しかったです!
三代目との掛け合いがとっても面白い!
実に微笑ましいです。孫とおじいちゃん。

そして、今回は正真正銘ナルヒナですね!
ヒナタを意識するナルトがすごく可愛かったです!!
ちゃんと男の子してていいですね!


あと、ちょっとだけでてきたイルカ先生が好きでした。
やっぱり、いい先生ですね、彼は。
2003/11/7