〜ETERNAL NIGHT〜 第4話 アンコと一緒に寝た翌朝、目が覚めたナルトが眼にしたのは、エプロンをして料理をしているアンコの姿だった。 「あ、ナルト目が覚めたのね。今朝ご飯出来たところだよ。先に顔洗ってきな。」 アンコは満面の笑みを浮かべながらナルトに言った。 しかしナルトの表情は青ざめていた。 何故ならアンコが持っている鍋からは火に当てていないにもかかわらず沸騰しているような気泡が出ており、時折叫び声をあげながら化け物のような顔を出したかと思うとさらにでかい化け物の顔がそれを飲み込み消えるということを繰り返していたからである。 「アンコそれ何?」 恐る恐る聞いたナルトにアンコは笑いながら答えた。 「何って見て分からない?お味噌汁以外に何に見えるのよ。」 (分からないから聞いたんだよ!!) ナルトはアンコに呆れた表情を向けながら心の中で叫んだ。 「何よその顔、そりゃ見た目はちょっと悪いかもしれないけど一生懸命作ったのよ。」 アンコは涙を流しながらナルトに訴えた。 そんなアンコの表情を見たナルトは本気で焦った。 「わ、悪かったよ。見た目がちょっと(かなり)変わってたから驚いただけだって・・・」 ナルトが必死に弁解し何とか少し落ち着いたアンコがナルトに追い討ちをかけるように言った。 「・・・・じゃあ、食べて・・・くれる?」 まだ瞳に涙をうっすらと浮かべながらアンコは恐る恐る言った。 「も、もちろんだって・・・・」 (母さん俺今から母さんのところに行くかもしれない。) ナルトは内心を知られないように慎重に返事を返した。 そんなことを知らないアンコはナルトの言葉に安心した表情で微笑んだ。 瞳にうっすらと残っている涙に微笑みが追加されたアンコの表情を見たナルトは顔を赤面させて、アンコから微妙に視線を外した。 (アンコの今の表情めちゃくちゃ綺麗だった。心臓がすっげ〜ドキドキする。) ナルトがアンコの表情を見て止まっている間に、アンコは食事の用意を済ませていた。 「ナルト、じゃあ食べよっか。」 アンコの作った料理は味噌汁(自称)の他にも一品あり、それは焼き魚と見た目で分かったが、時折かすかに動いて呻き声を発していた。 (本当に食えるのか、これ・・・・) 「い、いただきます・・・・」 「見た目はちょっとあれだけど、普通に食べられるから心配しないでね。」 アンコはナルトに言い聞かせるようにしゃべった。 アンコの言葉に意を決したナルトはアンコの手料理を怯えながらも口にした。 料理を食べたナルトの感想は (確かに普通に食える。でも何で見た目がこんなにすごいのに味は普通なんだ?) という物だった。 「ナルト、味どう?やっぱり駄目だった?」 「いや、最初にアンコの言ったとおりおいしいよ。ごめんな疑ったりして・・・」 ナルトの表情を見てナルトが嘘を言ってないことが分かったアンコはホッとした表情になった。 「ううん、私こそごめんね。こんな見た目の料理しか作れなくて。そしてありがと、食べてくれてうれしかった。」 こうして最初こそいざこざがあったがアンコとナルトの朝食は楽しく過ぎていった。 ナルトはアンコと朝食を済ませた後、アカデミーの卒業試験に合格した者のための説明会に参加するためアカデミーに向かっていた。 (しかし暗部の俺が今更下忍かよ。やる気でね〜なぁ。確か下忍ってスリーマンセルだったよな。ヒナタ以外は足手まといにしかならね〜じゃねえか。) ナルトはそう考えると気が滅入り、足取りが重くなった。 そしてナルトがアカデミーに着き、教室の席に座って十分後、イルカ先生がスリーマンセルの班の発表を始めた。 「・・・・・次、七班、うずまきナルト、春野サクラ、うちはサスケ。」 その発表を聞いた瞬間ナルトは気の毒になるくらい落ち込んでいた。 そしてもう一人ナルト程大げさではないにしろヒナタもナルトと一緒になれなかったことでかなり落ち込んでいた。 その後、午後から担当の先生を紹介するということでその場は解散になった。 午後になって他の班の担当の先生が現れてもナルト達の担当の先生は一向に現れる気配がしなかった。 その後ナルト達の担当の先生は二時間以上たってからナルト達の前に現れた。 その担当の先生は、他国の忍びからはコピー忍者の異名で恐れられ、自国の忍びからは遅刻魔の異名で恐れられるはたけカカシだった。 「遅れて悪かったね。実はここへ来る途中で人生とは何かという疑問が生まれて、考えてたらおそくなっちゃった。」 と悪びれもせず言うカカシに対してナルト達は心を一つにして思った。 (((絶対嘘だ。))) 「とりあえずここじゃなんだから屋上にでも行こうか。」 屋上についたナルト達はカカシに向かい合って座った。 「そうだな・・・まずは自己紹介してもらおう。」 「・・・どんなこと言えばいいの??」 カカシの言葉に反応したのはサクラだった。 「・・・そりゃあ好きなもの嫌いなもの・・・将来の夢とか趣味とか・・・ま!そんなのだ。」 「あのさ!あのさ!それより先に先生、自分のこと紹介してくれよ。」 (まあ、俺は知っているがな。前に一度本気で死合いしたいと思っていたときがあったから色々調べたからな。) 表ではドベのナルトを演じつつ内心では恐ろしいことを考えているナルト、その内心を少しも表に出さないのは流石である。 「あ・・・・・・・オレか?オレは「はたけ・カカシ」って名前だ。好き嫌いをお前らに教える気はない!」 (好きな言葉はチームワーク。好きな食べ物は秋刀魚の塩焼き、茄子の味噌汁だったよな。定食屋で食ってる時の表情違うもんな。嫌いな食べ物はなぜだか天ぷら。天ぷらがメニューのときだけ日替わり定食を頼まない。)←ストーカー? 「将来の夢・・・って言われてもなあ・・・。ま!趣味は色々だ・・・・・・」 (将来の夢なんて聞いたことねえなあ。趣味はイチャイチャシリーズを読むこと・・・ろくでもねぇ本しか読まねえのかよ) カカシが言わなかった情報を頭の中で反芻するナルトだった。 「ねえ・・・結局分かったの・・・名前だけじゃない?・・・」 こそっとサクラが言う。 同意する下忍たち。 (まあ、忍びがそうやすやすと自分の素性を明らかにするというのもおかしい話だから、コレが正しいんだろうけどな。自己紹介する意味はないな) 「じゃ、次はお前らだ。右から順に・・・」 (右からって、オレか。何て言うかなあ) 「オレは「うずまきナルト」って名前だ。好き嫌いをお前らに教える気はぬわい!」 とりあえず、カカシの自己紹介をコピーしてみる。 が、ここまで言ったところでカカシの手刀をくらった。 「真面目にやれ?」 にっこり。 しかし、目が笑っていない。 ナルトとしては別に怖くはないが、ドベらしくちょっと怯えた風を装って改めて自己紹介することにした。 結局ラーメンのことばかりを語った自己紹介をした。 まあ、表向きのものだ。 カカシが呆れた顔をして聞いていた。 「将来の夢は火影を越す!!んで、大切な人を守る!」 (まあ、これは本心かな。夢じゃなく、実現させるけど。って、カカシも何深刻そうに人の夢聞いてるんだろうね?) 次はサスケの番。 「・・・夢なんて言葉で終わらす気はないが、野望はある!一族の復興とある男を必ず・・・殺すことだ」 (悲劇の一族、うちはの生き残りか。ふん。イタチを殺す?お前みたいな甘ちゃんじゃ無理だな。あの事件から何年経った?それで、この程度の成長じゃな。イタチは13で暗部の部隊長になったんだぜ?言葉と行動が一致してねえぜ?サスケクン。) 内心サスケのことを馬鹿にするナルト。 サスケに対してあまりいい思いは持っていないようだ。 最後にサクラ。 ((・・・恋愛第一か・・・・・・)) カカシとナルトの一致した思いだった。 「よし!自己紹介はそこまでだ。明日から任務やるぞ。まずはこの4人だけであることをやる」 (下忍昇格合否試験だな) 「サバイバル演習だ。相手はオレだが、ただの演習じゃない」 「じゃあさ、じゃあさ、どんな演習なの?」 (まあ、本当は知ってるんだけどね) クククとカカシが笑い出した。 心底嬉しそうだ。 (こいつ、サドっ気あるな・・・) とナルトはカカシを分析した。 「ちょっと!何がおかしいのよ、先生!?」 かなり不審そうにサクラが聞く。 サスケは発言こそしていないが、表情は怪訝そうだ。 「いや・・・ま!ただな・・・オレがこれ言ったらお前ら絶対引くから」 あいかわらず楽しそうに笑いながら言う。 サクラとサスケの頭に「?」マークが浮かぶ。 「卒業生27名中、下忍と認められる者はわずか9名。残り18名は再びアカデミーへ戻される。この演習は脱落率66%以上の超難関テストだ!」 それまでとは打って変わった真面目な表情でカカシが言った。 その言葉にナルトは演技で、サクラとサスケは素で顔を引きつらせた。 「ハハハ。ホラ引いた」 やっぱり嬉しそうなカカシ。 「明日は演習場でお前らの合否を判断する。忍び道具一式持ってこい。あと、朝飯は抜いて来い・・・・・・吐くぞ!」 詳しいことが書いてあるというプリントを受け取り、遅刻はしないようにという言葉を受けて解散となった。 (遅刻しないように・・・その言葉、そっくりお返ししますよ、カカシセンセ?ってもまあ、無駄だろうけど) 明日は合否試験。 ヒナタのとこは大丈夫かなあとナルトは思いを馳せた。 |
第4話いただきました!
更新予告どおり年内に!
うれしいですね〜。
最初のアンコさんの料理…お、恐ろしい…
絶対食べれません。味は普通とか言われても……。
母さんの所に行くかもなんて言いながらも食べるナルトはエライです。
愛ですね〜。
後半は原作ベースなところにナルトの突っ込みがちょこちょことあったのが面白かったですv
2003/12/31