〜ETERNAL NIGHT〜 第5話 そして次の日 「お待たせ〜。」 「「遅〜い!!」」 案の定カカシは集合時間から四時間以上遅れて登場した。 さすが遅刻魔カカシ。 「いや〜、ごめんね。まあ時間もないことだし、それは置いといてさっそく今日の演習の説明をするね。」 (((誰のせいだ!!))) カカシの悪びれもなく言い放つ言葉に三人は心で叫びながらカカシを睨みつけた。 そんなことは気にせずカカシは懐から鈴を二つ取り出した。 「ここに鈴が二つある・・・これを十二時までにオレから奪い取ることが課題だ。もし昼までにオレから鈴を奪えなかったら昼飯抜き。あそこにある丸太に縛りつけた上にオレが目の前で旨そうに食うから。」 ((朝飯食うなって・・・そういうことだったのね。)) (カカシの性格からこうなることは予想できたからな。朝飯食べてきて正解だったな。) サクラとサスケは少々青い顔をしていたがナルトは平然としていた。 「鈴は一人一つでいい。二つしかないから・・・必然的に一人丸太行きになる。・・・で、鈴を取れない奴は任務失敗ってことで失格だ!!つまり最低でも一人は学校へ戻ってもらうことになるわけだ。」 カカシの言葉にサスケとサクラは緊張した顔つきになり、ナルトは下を向いて誰にも分からないようにひっそりと口を歪めた。 (面白い。俺の立場上、本気を出すことはできないが相手はコピー忍者のカカシ、少しは楽しめそうだ。) 「手裏剣も使っていいぞ。オレを殺すつもりでないと鈴は取れないからな。じゃ、よ〜いスタ〜ト!!」 カカシの言葉にサクラとサスケは心の中で (いきなりかよ!!) とツッコミながら気配を消し、近くの森に身を潜め、ナルトは冷静にとりあえず身を隠しカカシの出方を伺うことにした。 (サクラとサスケは・・・あそこだな。サスケはまだギリギリ気配を読まれないレベルかもしれないが、サクラはまだまだだな。上忍レベルにはあれじゃあバレバレだな。あいつらは気づいていないだろうが、おそらくこの試験は個々の力を見るのではなくチームワークを図るもの。他の奴らはどうでもいいが俺まで巻き添えになったらたまったもんじゃないな。さてどうするか。) ナルトが一人作戦を考えている間カカシは三人の気配を探っていた。 「忍びたる者、基本は気配を消し隠れるべし。」 (三人とも下忍としてのレベルでならまあ合格だな。サクラは・・・そこの草陰、サスケは・・・少し離れた木の上、か。ナルトは・・・気配が少しもしない。どうやら三人の中ではナルトが気配を消すのが一番うまいようだな。) カカシがナルト達の評価をそう付けたとき、カカシの後ろから声が聞こえた。 「いざ、尋常に勝〜負!!」 それはナルトだった。 ナルトはサスケやサクラには一度カカシと戦ってもらい個人の力では勝てないということを分からせ、その後、三人でカカシと戦うよう説得しチームワークを見せるという作戦をたてたのである。 「あのさァ・・・お前ちっとズレとるのぉ・・・」 そんなナルトの考えを知らないカカシは呆れながらナルトを見るのだった。 「いくぞ!!」 叫んだナルトはカカシに手裏剣を投げられるだけ投げ、同時にカカシに飛びかかり顔を狙って跳び蹴りを放っていた。 カカシはナルトが投げた手裏剣を最小動作でかわし、ナルトの跳び蹴りを片手で防ぎ、ナルトの足をつかんだ。 その瞬間ナルトは?まれていない足でカカシの死角になっている真下から下顎狙いの蹴りを放った。 しかしカカシは顔を後ろに反らすことでその攻撃もギリギリだがかわす、だが、それがナルトの狙い道理だった。 蹴りの反動で身体が下向きになったナルトはカカシが腰につけている鈴に手を伸ばした。 その狙いに気づいたカカシはつかんでいた足を離し後ろに跳ぶ事で鈴をとられる事を防いだ。 ナルトが着地した瞬間カカシは瞬身の術を使いナルトの後ろに移動した。 「忍者がどんな体勢でも後ろを取られちゃ駄目だよ。 ・・・木の葉隠れ秘伝体術奥義!!! 千年殺し〜っ!!」 千年殺しとは三代目火影が考案した技で虎の印を形で手を組み、相手の肛門に激しく突き刺すモノスゴイ浣腸である。 この技は三代目火影から伝説の三忍と呼ばれる忍びの一人である自来也、自来也から四代目火影でありナルトの父親でもある注連縄、注連縄からカカシへと伝わったという歴史があり、くらった者は数分間激痛によりもだえ苦しむという技である。 その光景を見たサクラとサスケは二人ともあきれ返っていた。 「・・・何が奥義よ・・・ただのモノスゴイ浣腸じゃない・・・」 「・・・ふん・・・ウスラトンカチが二人・・・」 その瞬間千年殺しをくらったナルトの姿が丸太に変わった。 (何!?あの一瞬でかわしただと・・・殺気!?上か!!・・・何〜!?) カカシは技をかわされた事に驚きながらもナルトが僅かに出した殺気に反応し上を見上げた。 そこには予想だにしなかったことがおきていた。 それは殴る部分だけで自身の身長以上もあり側面には100tと書かれた超巨大なハンマーを振り上げて攻撃を仕掛けてきたナルトの姿だった。 (あんなふざけた技をよくも俺にしようとしやがったな・・・許さねえ!!) 「くらえっ!!」 カカシがナルトを視認した瞬間ナルトは超巨大ハンマーでカカシをつぶした。 しかしハンマーの下で潰れているのは丸太だった。 ハンマーにつぶされる直前に変わり身の術で攻撃を避け攻撃をしかけ無防備となったナルトの後ろにカカシは現れていた。 (千年殺しはよく避けたな、だがっ、これは避けさせん!!) そう心の中で宣言したカカシの眼が「キュピーン!!」と光り、人差し指だけを立たせた形で手を組みナルトに技をしかけた。 「木の葉隠れ秘伝体術裏奥義!!! 万年殺し〜〜〜〜っ!!!!!」 万年殺しとは、やはり三代目火影が考案した技であり千年殺しほど完璧に技がきまることは少ないが、もし完璧に入れば千年殺しの十倍以上の激痛と、一生肛門科に通うことになるか、ある特殊な性癖に目覚めてしまうという恐ろしい技である。 運悪くこの技を完璧に決められてしまった伝説の三忍の一人である大○丸がオカマ言葉になってしまったのはこの技が原因と言われている。 カカシは今度こそは決まったと思ったがナルトの姿はまたもや丸太に変化していた。 (なっ!?まさかあのタイミングで避けただと!?・・・今度は後ろか!!) 後ろを振り向いたカカシの目前にはカカシの身の丈以上もある「コンペイトウ1号」と書かれた巨大な棘つきの鉄球がカカシを押しつぶさんと迫っていた。 カカシは瞬身の術を使い鉄球をかわした。 目標を失った鉄球はカカシの後ろに聳え立っていた巨木に突き刺さり動きを止めた。 その鉄球の上にカカシは立ち鉄球に繋がっていた鉄の鎖を持っているナルトに笑いながら尋ねた。 「ナルト・・・ハンマーの時からすっごく気になってたんだけどね、何処から出したの??そんなでっかいの。」 カカシの言葉にナルトは少し怪訝そうな顔をして答えた。 「何処って・・・ここだってばよ。」 ナルトが指した場所は普段手裏剣などを入れる腰につけたホルスターだった。 そこにナルトは手を入れ、先ほどの超巨大ハンマーを取り出した。 それを見たナルト以外の全員がナルトに向かって叫んだ。 「「「どうやって出した!!それ以前にどうやって入れた!?」」」 そう突っ込みを入れた瞬間サスケとサクラは自分の失態に気づきその場を離れるが、サクラはカカシに追いつかれ幻術をかけられ気絶した。 ・・・「キャアーーーーー!!!」 「あ・・・やっぱりやられたか・・・もう昼も近いから多分カカシはサスケの所に実力を見に行っただろうし、しばらく休憩してよっと。」 ちょうどその頃、カカシはナルトの言ったとおりサスケの所に来ていた。 「今の声・・・サクラか・・・」 「忍び戦術の心得・・・幻術・・・サクラのヤツ簡単にひっかかっちゃってな・・・・・」 (幻術か・・・一種の幻覚催眠法・・・あいつならひっかかるのも無理ねーな・・・しかし・・・) サスケはカカシの言葉を聞き、サクラのことをあざ笑っていた。 「・・・俺はあいつらとは違うぜ。」 「そういうことは鈴を取ってからにしろ・・・サスケ君・・・」 サスケの身体が低く沈み、サスケは手裏剣を三つカカシに投げた。しかしカカシはそれを余裕でかわしながらサスケに言った。 「馬鹿正直に攻撃しても駄目だよ!!」 しかしサスケの投げた手裏剣の標的はカカシではなく、カカシの後ろにある仕掛けたトラップだった。 手裏剣の一つが紐を貫くと、カカシに向かって数多のクナイが放たれた。 カカシはクナイを間一髪でかわしたが、サスケはすでにカカシの後ろに移動しカカシに跳び蹴り放っていた。 カカシはサスケの足をつかみ蹴りを防いだ。 サスケは足をつかまれた瞬間、遠心力を十分につけたパンチ放ったがそれもカカシにつかまれてしまう。 サスケはさらに残った足でカカシの頭を狙い、蹴りを放つがそれも防がれてしまう。 しかしサスケの顔には笑みが浮かんでいた。 サスケの狙いはカカシの両腕を使えなくすることだった。 サスケはカカシの腰につけている鈴に手を伸ばした。 しかし後もう一歩というところでカカシに避けられてしまう。 両者共に体勢を立て直し、向かい合う格好になり、サスケは印を結んだ。 カカシはサスケの結ぶ印を見て驚愕した。 (なにぃ!!その術は下忍のできるような・・・チャクラがまだ足りないはず・・・!!) 「火遁!豪火球の術!」 サスケの口から巨大な火球がカカシに放たれた。 しかしサスケが術をやめ、カカシがいた所を見てみるとカカシの姿はなかった。 (!?・・・いない!?何処だ?) その瞬間サスケの足元から声が聞こえた。 「下だ。」 その瞬間サスケの足が地面から出てきたカカシの手につかまれ、サスケは地面に顔を残し埋められてしまった。 そして地面から顔だけ出しているサスケに向かいカカシは言った。 「土遁・・・心中斬首の術。忍び戦術の心得、忍術だ。しかし、お前といいナルトといい今年はまあまあ優秀なのが多いなあ。でも、出る杭は打たれるっていうしね。」 ハハハと笑いながらカカシは去って行った。 そのカカシの後ろ姿を見ながらサスケはクソッと毒つきながら、下忍と上忍の力の差を感じていた。 (終わったか。さ〜て、めんどくさいけどサクラとサスケを説得しなきゃな。) そう考え、ナルトはサクラとサスケの元へ向かった。 ちょうどその頃、サクラは自力でなんとかカカシの幻術から抜け出し、サスケの無事を確かめるべくサスケの姿を求めて歩いていた。 (さっきのが幻術で本当よかったわ。 私のサスケ君があんなにあっという間にボロボロになるわけないものね。 でも、あんなに簡単にひっかかっちゃうなんて、私もまだまだ甘いわね。 明日からもっと幻術の修行しなくちゃ。) そう決意するサクラの目にサスケの顔が見えた。 カカシの心中斬首の術によって首から上だけが地面から見えるサスケの姿が。 「今度は生首ぃー!!」 ふっと気が遠くなるが、やはり幻術かもしれないと思い直し幻術返しの印を結ぶが、 「・・・き、消えない!ほ、本物・・・!」 やっぱり気絶しようと意識を手放しかけた。 そこへナルトが現れ、サクラの身体を支え、 「サスケ、なに地面に埋まってるんだってば?」 とサスケに話しかけた。 「埋まってるだけ!?」 ナルトの言葉にサクラは意識をはっきり取り戻し、改めてサスケの姿を見る。 サスケは気まずそうな表情をしながら、埋まった身体を脱出させようともがいていた。 (動いてる。生きてる。良かった。) ほっとしたサクラは目にうっすらと涙を浮かべた。 サスケが地中から脱出するのを手伝ったあとナルトはサスケとサクラに話しかけた。 「カカシ先生、やっぱり上忍だけあって強いってば。オレ達を相手にして、全然平気そうだし。」 「・・・呼吸一つ乱しやがらねえ・・・」 悔しそうにサスケが言う。 「悔しいけど、絶対1対1じゃ敵わない。ここは3人で協力したほうがいいと思うんだけど。」 ナルトが提案する。 「でも、鈴は2つしかないのよ!?もし、うまくそれで鈴を取れたとしてもその後どうするのよ!?」 「それは取れてから考えればいいって!でも、協力しないと確実に1個も取れなくて3人ともアカデミーに戻されるってばよ!」 「・・・ちっ。ドベに言われるのは癪だが、仕方ないな。鈴が取れるまでは協力することにする。だが、そのあとは・・・」 「わかってるって。」 「・・・サスケくんが、いいなら、私も。」 ここに、なんとか協力体制が取られる事になった。 「昼まで、もう時間がない。行くぞ。」 サスケの言葉にナルトとサクラが頷き、カカシと対決するべく3人は移動した。 サクラが幻術でカカシの視界を悪くしたり、タイミングよく手裏剣を投げたりと後方援護に回り、ナルトとサスケが協力してカカシに挑んだ。 カカシがどちらか一方と戦えばもう一人が死角から鈴を狙うという戦法を繰り返し、鈴をなんとか取ることができた。 (カカシのヤツ、オレ達が協力して向かっていった時点で、鈴は渡すつもりだったな) 「鈴取れたってばよ!」 「ふん(得意気)」 「ヤッター(愛は勝つ!しゃーんなろー!!)」 喜ぶ下忍たちを見てカカシも優しそうに笑う。 「お前らよくやった!全員ごーかっくv」 にっこりと笑いカカシがはっきりとそう言った。 「「「え?」」」 鈴は2つしかないのに?と不思議そうに3人(1人は演技)はカカシを見た。 「わざと仲間割れするように仕組まれた課題の中で、よく3人で協力したな。忍者は裏の裏を読め。これはチームワークを取れることが合否の鍵だった演習だったんだよ。忍者はチームワークが命!だからな。」 カカシがチームワークの重要性について説く。 正式に下忍となれた子供たちは真剣にカカシの言葉に耳を傾けた。 カカシ第7班。 3人そろって下忍に見事昇格決定。 |
第5話いただきました!
本当は4話と一緒にくれる予定だったそうなのですが、
年内更新の約束が守れなくなりそうだったので、
5話だけちょっと遅れたとのことでした。
大晦日、お正月と素敵小説をいただけてうれしいです。
お年玉をもらった気分です。
ありがとうございましたvv
今回も笑わせてもらいました!
木の葉体術奥義の歴史とか、大○丸のオカマ言葉の理由とか!
「千年殺し」ネタが大好きな私にはたまりませんでしたよ。
ナルトのホルスターは四次元ポケットだったのですね!(笑)
「100tハンマー」や「コンペイトウ1号」サイコーです!
シティー○ンターを思い出しますね。なつかしい。
あと、アクションシーンに感動しました。
カッコイイ!
私もカッコよく書けるようになりたいものです。
ナルトの作戦勝ちで見事下忍昇格!
次は波の国編に入るのでしょうか?
続きが楽しみです!
2004/1/1