〜ETERNAL NIGHT〜 第6話 ナルト達が下忍になってから二日後、現在ナルト達は下忍の任務である草むしりをこなしていた。 時刻が夕方になり足元が少々見えづらくなった頃、草むしりをしていた三人にカカシが言った。 「はい、本日の任務はこれで終了〜。 次の任務は明後日の朝九時からだから遅れるなよ。」 それを聞いた三人の心は一つだった。 (((お前が言うな!!))) 「じゃあ、今日はこれで解散。気をつけて帰れよ。」 カカシがそう言って消えたのを見て三人はそれぞれの帰路についた。 ナルトが自宅までもう少しの距離に差し掛かった頃、任務を知らせる鳥が上空を旋回するのを見たナルトは溜息をつきながら火影の所に向かった。 (はぁ〜下忍の仕事は楽すぎて逆にストレスが溜まるから、暗部の仕事はストレス解消に丁度いいんだけど、こう毎日だといい加減面倒くさくなってきたな。 この任務が終わったら脅してでも休暇をもらうか・・・。) ナルトは少々恐ろしいことを考えながら暗部の衣装に着替え、火影の元についた。 「来たようじゃな・・・屍鬼よ。」 「今日の任務は何だ??」 ナルトは暗部の時は屍鬼と名乗っており、背丈はいつもと変わらないが、その身体から放たれる威圧感はそばに居るだけで常人ならば息が苦しくなるほどであった。 そんな屍鬼の威圧感を物ともしないあたり流石は火影というべきなのかもしれない。 「今日の任務は火の国の巫女の少女の護衛じゃ。 名前は彼方はるか。 彼方家は代々火の国の巫女として火の国を守護してきた一族でな、今回の依頼は火の国がしてきた物と言ってよい。 最近その巫女の屋敷の上空に怪しい暗雲が現れておってな・・・先日依頼を受けて上忍一組を巫女の護衛に就かせていたのじゃが、全員次の日の朝には食われておったそうじゃ。 それも巫女の目の前ですべて行われてな。 そうして壁に食った者の血液で書置きを残して去っていった。 その内容は 『今夜はおにゃか一杯ににゃったから帰るにゃ〜。 明後日にもう一度来るから無駄にゃ犠牲を出したくにゃかったらおとにゃしく娘を差し出すにゃ〜。 かしこ にゃん魔王』 だそうじゃ。」 「何なんだ??そのふざけたしゃべり方は・・・。 そうか・・・とうとうボケたのか・・・」 突然変なしゃべり方で書置きの部分を読んだ火影に屍鬼は呆れながら聞き返した。 「ボケてなどおらんわい!失礼な奴じゃな・・・。 しょうがあるまい、こんな書置きを残していったのは妖魔なのじゃから。 ワシだって少し恥ずかしかったわい。」 火影は少々顔を赤らめながら屍鬼に言い返した。 「さて話を戻すとするかのう。 にゃん魔王という妖魔・・・これが本当なら確か、七大妖魔の一匹に名を募らせておったはずじゃ。 それも七大妖魔の中でも最も強いと言われる九尾の狐とほぼ互角の実力を持っていたはずじゃな。 いくらお前でもこいつの相手をするのは少々つらいはず・・・ それに、国に大きく貢献してくれている人物とはいえ相手が相手じゃからのぅ。 この任務に関しては火の国からも辞退しても構わんと許可が出ているが・・・どうする??」 火影の問いに屍鬼は笑いながら答えた。 「くっくっく、面白い冗談だ。 俺が断ればその巫女とやらは食われるんだろう?? 別に俺に関係のない人間がどこでどんな死に方をしようがかまわないが、助かるかもしれない命をわざわざ見捨てるなどそれ以上に胸糞が悪い。 それに、この俺に辞退するか??だと!? そんなわけないだろう・・・こんな、こんな機会一生に一度あるかないかだからな!! 特上の妖魔との一騎打ち・・・この依頼、喜んで受けさせてもらう!!」 屍鬼は興奮しながら火影に言った。 そうして部屋から去ろうとして思い出したように火影に一言告げた。 「忘れていた・・・この任務が終わったらしばらく休暇をもらうぞ。」 「いいじゃろう。 この任務が達成した翌日より一週間の休暇を与える。 それでよいか?」 「了解した。これより巫女の護衛に入る。」 そう言った瞬間なるとの姿は消え、その場所には火影だけが残った。 ナルトはすさまじい速度で移動しながらも護衛方法を考えていた。 (特上レベルの妖魔と戦うのであれば建物の中にいては不利だ。 あちらは被害を考えずに戦えるが、こちらは妖魔は倒した。 だが辺り一面焼け野原でした、じゃ駄目だからな。 周りにあまり建物がなく広く見渡しがいい場所となると・・・神社だな。 巫女の家に着くと同時に事情を説明して(脅して)巫女を神社の結界内に入れておけば心置きなく戦えるな・・・これでいこう。) 屍鬼は少々危ないことを考えながらも護衛対象のいる彼方家の家に着いた。 巫女の家は代々火の国のことを守ってきたこともあってかなり大きく、また暗雲が立ち込めていることもあってかなり目立っていた。 「依頼を受けてやってきた木の葉隠れの里の屍鬼という。 至急家主に取り次いでもらいたい。」 屍鬼が屋敷の門番に言うと同時に屋敷の扉が開き、中から中年で髪の薄い太った背の低い男が出てきた。 男は屍鬼の姿を見るやいなや不機嫌な表情になり、見下したように言い始めた。 「木の葉の里は何を考えている!? わが娘が化け物に食われようというのにこんな糞餓鬼一人しか寄越さっ・・・・・ヒイィ!?」 男がしゃべっている途中で屍鬼からすさまじい殺気が放たれ、男は続きをしゃべることは出来なかった。 「俺以外の人間がいくら居たって足手まといになるだけだ。 それから上では貴様の娘を見殺しにする意見も出ていたんだ。 さらに言うなら俺が帰った時点で貴様の娘は見殺し決定だ・・・分かったなら黙って娘の所まで案内しろ。」 「・・・あ、ああ。わ・・分かった・・・」 屍鬼の言葉と威圧感に圧倒された男はおとなしく屍鬼を娘のいる部屋まで案内した。 屍鬼が案内された部屋は畳二十畳位の広さがあり、床はすべて板敷き。 小さい道場のような印象をうけた。 その部屋の中心で巫女の衣装を見に着けた少女が瞳を閉じて瞑想していた。 少女は儚げで神秘的な美少女だった。 屍鬼の隣にいる男の遺伝子を持っているのが不思議なほど全然似ておらず、この娘がこの容姿で育ったのは生命の神秘と言えるほどだった。 「父上・・・この方は・・・どなたですか??・・・」 「ハルカよこの方はお前守ってくれるために木の葉の里が派遣してくれた人だよ。 名前は屍鬼というそうだ。」 「そうですか・・・また、私のために犠牲が出るのですか??・・・」 ハルカは泣きながら父親に尋ねた。 先日の出来事がずっと頭から離れず、夢に自分を守って死んだ忍者の顔が離れずずっと嘆いているのだ。 屍鬼は安心させるようにやさしい声で言った。 「大丈夫だ。あんたは守るし、俺も死なん。 それに俺はこう見えても里で最も強い忍びだ。 この前の奴らのようにはならん。」 「ですが・・・!?」 「しつこい・・・時間の無駄だ。 それからここでは奴が来たとき周りに被害が出すぎる。 場所を移動させてもらうぞ。」 屍鬼の提案にハルカの父親は驚愕しながら聞き返した。 「ちょっと待ってくれ!!ここで守るのではないのかね!?」 「屋敷が全壊しようが、貴様が死のうが構わないのなら、ここでも構わないが??」 「それでは話が違うのではないか!?」 「俺が里から言われたのは彼方ハルカを守れということだけだが??」 「っな・・・・!?」 「別に妖魔も貴様なんかを食うつもりなんかないんだ。 大人しく部屋の隅で娘の無事でも祈っていろ。」 男は屍鬼の言葉に口を開こうとするが喉に力が入らず口をパクパクさせるだけに終わった。 その間に屍鬼はハルカを連れ出しており、気づいたときには男がただ一人で立っていただけだった。 屍鬼はハルカを神社の奥に連れて行き、ハルカの周りに地面に筆で印を書き始めた。 そこには複雑な印が描かれており、すべてを書き終えるのに三十分を要した。 地面に印を書き終えた屍鬼は更に手で大量の印を結び術を発動させた。 「北に玄武、南に朱雀、東に青龍、西に白虎、四神の力を持って彼の者を護る何人をも通さぬ盾となれ!!・・・四神結界!!」 屍鬼が術を発動させると同時にハルカの周りに書いた印が激しく光そこから優しい光があふれハルカを包み込んだ。 そして、それと同時に空には雷を伴った暗雲がたちこめ辺りに殺気が溢れ大気が震えだした。 ハルカは結界の中にいるため何も感じないが、その放たれる殺気は並みの人間ならば殺気に耐えられずに自我をなくし、自ら命を絶ちたくなるほどであった。 「来たか・・・ギリギリで間に合ったな・・・・。 これでお前には誰であろうと触れることはできん・・・。 そこで安心して見ていろ・・・俺が・・・奴を倒すのを・・・」 屍鬼が言葉を言い終えると同時に空の暗雲から落ちた雷と共に七大妖魔の一匹にゃん魔王が現れた。 この戦いが後にナルトの運命を左右する序曲になろうとは、ナルトはもちろん誰も気づいていなかった。 |
2004/2/17