NARUTO
〜ETERNAL NIGHT〜


第7話


屍鬼の言葉と同時に雷雲から現れたにゃん魔王は、ハルカが包まれている結界と屍鬼の姿を見て呆れた様に言い放った。

「にゃ〜。こにょ前せっかく忠告してやったにょにまた雇ったのかにゃ〜??
 お前馬鹿にゃ〜。
 無駄にゃ犠牲を出すにゃけにゃと気づかにゃいにゃ〜??」

にゃん魔王の言葉に屍鬼は内心切れかけながらも言い返した。

「ぬいぐるみの分際でいきがってんじゃねえよ。
 それに、お前はこの女を食えね〜よ。
 俺にここで殺されるんだからな。」
「人間の分際でふざけたことを言うんじゃにゃいにゃ〜。
 そこまで言うんにゃら、お前を殺した後で、そこにょ娘をゆっくり味わって食べるにゃ〜。」

屍鬼の言葉で不機嫌になったにゃん魔王は、言葉を言い終えると同時にすさまじいチャクラを身体から発し始めた。
その強さはにゃん魔王の周囲が歪み地面がえぐれるほどすさまじいものであった。

にゃん魔王のチャクラを感じた屍鬼は、道具入れからある道具を取り出した。
それは対にゃん魔王用に此方に来る前に屍鬼が用意した特殊道具で、妖魔としては若い百数十歳というにゃん魔王の年齢から考えての道具だった。
それは木の棒の先にピンク色のモールがついており、モールと木の棒の間には可愛らしい金色の鈴がついていた。
棒を振るとフリフリと可愛らしくモールが動く。
その動きにあわせて鈴も揺れ、チリンチリンと涼しげな音を立ててそれがまた可愛らしさを演出する、取り出したのは俗に言う「猫じゃらし」であった。

「ほ〜ら、ちっちっちっちっちっ・・・・」

屍鬼がしゃがんで猫じゃらしを振ると、鈴からチリンチリンと涼しげな音が出て、にゃん魔王を誘惑し始めた。

「そ、そんにゃ物つうじにゃ・・・・」
「ほ〜ら。ちっちっちっちっちっ・・・・」

にゃん魔王が言葉を発するも、しかしにゃん魔王の尻尾はフリフリとゆれ、耳も猫じゃらしの方を向き、眼も猫じゃらしの動きを完全に追っているため、説得力は皆無といってよかった。

「そんにゃもにょ・・・・」
「ほ〜ら。ちっちっちっちっちっ・・・・」
「・・・・にゃんにゃんにゃん・・・」

にゃん魔王はとうとう誘惑に負け、猫じゃらしに飛びついた。
その姿はとてもかわいく、愛らしかった。
襲われているハルカも頬に両手をやり、悦に入っていた。

(・・・・かわいい・・・・)
「・・・飼いたい・・・・」
ハルカがボソッと言った言葉に屍鬼は反応し猫じゃらしを振りながらもハルカに呆れながらつっこんだ。

「いや、お前を食おうとしている奴だぞ・・・」
(・・・そろそろだな・・・)

屍鬼は猫じゃらしを今まで縦にしか動かしていなかったのを突然横に大きく動かした。
それに反応したにゃん魔王は屍鬼に胴体を丸出しにした格好になり隙だらけになった。
その瞬間猫じゃらしを持っていない手にチャクラを集中し、台風のように回転させながら凝縮した、一撃を叩き込んだ。

「これで終わりだ!!螺旋丸!!」

にゃん魔王は、攻撃を受けた箇所から子猫の悲痛な鳴き声を発しながら数十メートル程吹き飛ばされていった。

「にゃあっ、にゃあっ、にゃあっ、にゃあっ・・・・」

その泣き声を聞いた屍鬼はとてつもない罪悪感を感じ、それを見ていたハルカからは自分が護っているにもかかわらず、突き刺さるような視線を浴びせられた。
屍鬼はそんなハルカの視線を無視して、結界を解こうとした。
しかしその瞬間にゃん魔王が吹き飛ばされた辺りからチャクラが感じられ、屍鬼が振り返ると、そこには無傷のにゃん魔王が立っていた。

「今のは・・・痛かったにゃ。」

にゃん魔王の瞳には涙が浮かんでおり、身体は小刻みに震えており、小さい子供が泣くのを必死にこらえているように見えた。
それを見たハルカからの屍鬼に浴びせられる視線はますますひどくなり、屍鬼の顔には冷や汗が流れていた。
そうして少しするとにゃん魔王の身体からチャクラと共に殺気が感じられるようになった。
それと同時ににゃん魔王は口を開いた。

「もう怒ったにゃ〜。許さないにゃ〜。」

にゃん魔王がそういった瞬間、にゃん魔王の姿が消え、屍鬼の目の前に突如現れた。

「くらうにゃ・・・肉球アタック!!」

名前とは裏腹に超強力な一撃を額に受け、屍鬼は数メートル吹き飛ばされた。
屍鬼は吹き飛ばされながらも体制を立て直し、にゃん魔王の方を見たがそこには何もなかった。
屍鬼が驚いていると、後ろから声が聞こえた。

「何処を見ているにゃぁ。もう一発、肉球アタック!!」

そこにはすでに先回りしていたにゃん魔王が居り、屍鬼の頭上から攻撃を加えようとしていた。
屍鬼は回避も防御も間に合わず無防備にその一撃もくらってしまい、地面に叩きつけられた。
その瞬間にゃん魔王は屍鬼の顔面に蹴りを加えており、屍鬼は十数メートル吹き飛ばされ、後ろにあった大木に叩きつけられた。
その衝撃で大木にはヒビが入っており、いかにその衝撃が強かったかを物語っていた。
屍鬼の暗部の仮面は度重なる衝撃によってすでに半分以上が欠けており、左半分を隠しているだけになっていた。
欠けた仮面から屍鬼の素顔が見えるがその顔はほとんど血まみれで真っ赤に染まっており、見るも無残であった。
その顔を見たハルカは顔を真っ青にさせ、屍鬼に叫んだ。

「もういいです!!
 お逃げください!!
 これ以上攻撃を受けてはあなたの身体が・・・・」

そんなハルカの叫びに屍鬼はふらつきながらも笑顔で答えた。

「・・・し、・・・心配する・・・な。言った・・・だろ??
 コイツを・・・倒す・・の・・・をそこ・・・・で大人し・・・く見てい・・・ろと、
 約・・・束は必・・・ず守・・・る・・・心・・・配する・・・な。
 俺は絶・・・対、死・・・なん・・・」

その言葉ににゃん魔王は笑いながらしゃべった。

「にゃにゃにゃにゃ・・・。
 そんにゃ身体でにゃにができるって言うにゃ。
 お前に残された道はたった一つにゃ。
 それは此処で死にゅ!!
 それだけにゃぁ!!」

にゃん魔王はそう言うが、屍鬼はにゃん魔王が言葉をしゃべっている途中から瞳を閉じ、自分に集中していた。
その様子をにゃん魔王が疑問に思ったその瞬間、屍鬼の身体から今までとは比較にならないほど膨大なチャクラがあふれ出した。
同時に屍鬼の顔から仮面が滑り落ちた。
そして屍鬼の身体にあった傷がすさまじい速度で回復していった。
屍鬼の傷が治ると同時に屍鬼の肉体が変化していった。
金髪だった髪の毛が銀髪になり、瞳の色が美しい碧眼から禍々しい赤色になり、頬の痣が消え、両手の爪と犬歯が獣のように長くなり、身体の色が死んだように白くなった。
姿が変わっていくと同時に感じられるチャクラも禍々しくなり増えていった。
その量は姿が変わり終える頃にはにゃん魔王とほぼ互角の値にまで増加していた。
死鬼のその姿は禍々しくも美しいものであった。
その姿とチャクラを感じたにゃん魔王は信じられないといった感じで口を開いた。

「馬鹿にゃ・・・そんなはずはないにゃ・・・
 このチャクラは九尾にゃ・・・
 九尾は・・・九尾は死んだはずにゃ!?」

にゃん魔王の言葉に反応した屍鬼はにゃん魔王に向かってしゃべり始めた。

「お前の言う通り九尾は死んだよ。
 そうして死ぬ間際の九尾から力を受けついだのがこの俺だ。
 ・・・にゃん魔王・・・この姿を見せて生かした者はいない。
 もう一度言う・・・お前は、ここで殺す!!」




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↑猫好きのこだわり…?

2004/2/17