ぱちん 「・・・・・分かったでしょう。これが父が木の葉を襲った理由」 ――――罪ある正義―――――― 周りに急に景色が戻る。 (今のは・・・・・幻術?) 「食べる為や生きる為にあの仔達を襲ったのならまだ父も私も耐えられた。痛いけど!苦しいけど!まだ、あの仔達の命は誰かの命を繋いだんだって、耐えることができた・・・・・でも・・・・・・あの仔達は面白半分でその命を奪われた・・・・・・・」 食べる為でもなく。 生き延びる為でもなく。 任務でもなく。 ただ、溜まったストレスを消化する為に。 ゲームやタバコでイライラを解消するような感覚で。 里人達は垣間見た同胞の残虐な所業に思わず戦慄していた。 「父がいなくなっても『人を襲うな』その言霊は生きていた。今まで他の妖狐が 「そんな事・・・・我々には・・・」 「関係ない。とでも言いたいワケ?」 里人に対して葛葉は容赦なく畳み掛けた。 「そうね。あの仔達を惨殺したのは残っていた匂いからして精々4,5人。あなた達には関係ない。と私達に抗議する権利があるわね」 そう言った葛葉に思わず里人たちはほっとしかける。 「ただし」 葛葉は厳しい表情のまま告げた。 恐らく、全ての里人がずっと眼を逸らし続けてきた現実を。 少し考えれば分かりそうなものなのに。 誰も気づこうとしない事実を。 「それなら、『星宮ナルト』もあんた達に同じことを言いたかったでしょうね」 ・・・・ずっとナルトの存在そのものを否定し続けてきたものたちは・・・・絶句した・・・・ 「だってそうでしょう?彼は九尾と同じ体を共有しているとはいえ、魂としてはあくまでも別個、他人よ。あんた達が木の葉という同じ共同体に属しているとはいえ、他人は他人であるように。だとしたら、あんた達が同じ共同体の人間がした事に責任をもてないと言うのなら、彼だって私だって九尾のした事に責任を持つ必要がないと言う事になるわね。違う?私の言ってる事、何か間違ってる?」 葛葉は父のように力ではなく、あくまでも論理的に言葉で責めていく。 「つまりこういうことよ」 「あんた達が星宮ナルトを裁く権利を持つなら」 「九尾は裏切りと子供たちを殺されたとして」 「私は父と 「 「少し考えれば分かる事でしょう?」 愚かしや。 愚かしや。 罪なきものを裁き、自分勝手な正義に酔いしれながら罪を重ねる。その愚行に傷つく者がいるなど、考えもしない。 「だからと言って父が怒り狂うままに里を潰そうとしたのは間違っていたと分かっているわ。それは謝らせてもらいます。」 「・・・・・ごめんなさい」 あの、凶暴なだけだと思っていた九尾。 それの娘が。 人間に頭を下げた。 「だけど、父の思いも分かって頂戴」 「父の嘆きは半端なものじゃなかった・・・・」 「あんた達だって分かるでしょう・・・・・・・?腐っても親ならば・・・・・・」 「ねえ、生まれたばかりの自分の子供がずたずたに引き裂かれて・・・かわいらしかった眼が恐怖に見開かれたまま固まってて・・・・腐るままに木に吊り下げられてて・・・それが面白半分でやられたことだったとしたら・・・親や兄弟が怒り狂うことが・・・責められるべき、ことなの?」 「獣だからって馬鹿にしないでね・・・・私たちだって子供が生まれりゃ可愛くって仕方が無いし、兄弟が甘えてくれればうれしいし、死んだら悲しいのよ?」 そこに怨嗟の響きは無い、だからこそ、人々の心は余計に締め付けられた 誰も、何も、言えなかった。 いままでナルトのことすら所詮はけだもの、と思っていたものたちはばつの悪そうな顔をした。 静寂が辺りを支配する。 そんな中で、一人だけ動いた者がいた。 「綱手様・・・・・・?」 彼女は葛葉の前までズンズカ歩いて行くと、そっと膝を曲げ、手をついて・・・・・ 「悪かった・・・・・」 土下座した。 「綱手様!?」 驚いたのは里人達だ。 里の長である、火影にそんな事をされれば、こちらが悪いと認めているようなものではないか。 「5代目、何を・・・・・・!」 「お黙り!!」 綱手は里人達を厳しい声で一喝した。 「コイツの言っている事は何一つ間違っちゃいない!!そうだろう!?何も知らない赤子に全ての重苦を負わせて、のうのうと平和を謳歌していた癖に感謝の一つもしなかった馬鹿はあたし等だ!!九尾が何故 綱手はまくし立てた。 「それに・・・あんた等は怒るかも知れないけどアタシには九尾の気持ちも分かるんだよ・・・」 この言葉に彼らは眼をむく。 「アタシにも弟がいた・・・忍界大戦で死んじまったけどね・・・・・死んだ時、弟はちゃんと人間の姿をしていたけど、アタシは敵を恨んだ、憎んだ・・・・・!もし弟が九尾の仔と同じような殺され方をしてて、暴走できるような能力が、力があったら・・・同じような事をしていたかもしれない!」 そう、九尾と全く同じ事を。 「もちろん そこまで綱手は一気に言うと、里人達を見渡して、もう一度一気に息を吸った。 「だけど、あんた達に謝れるか!?無理だろう!?今更犯人を見つける事は不可能だし、家族を失っているあんた達には謝れないだろう!?」 そう言ってふーッと息を吐いて今度は静かに言った。 「だからアタシが代表で謝るんだよ・・・・」 「綱手様・・・・・・・」 静寂が辺りを支配する。 「それで?アンタは一体何しに来たんだい?そんな事をわざわざ話したってことは親父の仇討ちに来たって訳でもないだろうし・・・・・それに何よりアンタの;チャクラからは攻撃的意思を感じない。」 綱手の言葉に葛葉はふっと笑った。 「私、父の器に、ナルトに会ったわ」 「何!?」 「まさか・・アンタ・・・」 「落ち着いてよ、殺してないわ。最初は殺すつもりで近づいたんだけれどね・・・・・・けど、本当はもう一度彼の中の父の魂に触れて、父の今の望みを知りたかったの・・・・父上がまだ復讐を願っているのなら、私は言霊を破ってでも木の葉を襲うつもりでいた。でも穏やかだったから・・・・父の魂は穏やかになっていたから・・・・だから襲わないわ。だけど。だからこそ。私は木の葉の人々全てに一つ問いたい。」 そして葛葉は言う。 全ての核心を突く一言を。 スッ・・・と里人達を見据える。 「ねぇ・・あんた達はいつまで・・・・・」 静かに。 「死者に」 あくまでも静かに。 「囚われているつもりなの?」 それがとどめだった。 膝を突き、涙する者が現れる。 ひとり、またひとりと次々と。 わかっていた。 わかっていたのだ。 どんなことをしたとしても。 悲しみをぶつけたとしても。 死んだ愛しいものたちは帰ってこない。 わかっていても。 そうしてしまうのが人間であった。 「あの・・・・・・」 「ん?」 おずおずとヒナタが葛葉の前に出た。 「ナルト君の居所、知っているんだったら教えて欲しいんです」 ヒナタは必死だった (そっか・・・・・この子が) 葛葉はその必死さに微笑ましい気分になる。 「知ってるわよ。ピンピンしてるわ。“秘密の場所で待ってる”心当たりある?」 あった。 ナルトとヒナタがいつも一緒にいた場所。 そしてヒナタが初めてナルトに告白された場所であった。 ヒナタはそのまま走り出した。 ネジもその後を追う。 走り出した二人を見て葛葉はくすり、と笑った。 「で?ナルトを殺さなかった本当の理由は?」 「え?何を言ってるの?さっきも・・・・」 「親父の魂が穏やかになっていた。それだけじゃないだろう。」 断定口調で言う綱手に葛葉は苦笑した。 「ふー、参ったわね。人間にしちゃ鋭いじゃないのv」 そして葛葉は何かを懐かしむように。 「あの子、泣いてくれたから・・・・・」 月を見上げる。 『痛かった・・・・?』 『え・・・・?』 『苦しかったよな・・・・・・?』 『ごめんな・・・・・』 『どうして・・・・・・どうしてアンタが謝るのよ!!自分は無関係だと言い切っちゃえばいいでしょう!?』 『確かに・・・俺が生まれる前の話だ。俺には関係ないのかもしれない。けど・・・魂を通して全身に伝わってくるんだ・・・九尾の、信じてたのに・・・・裏切られて苦しいって気持ちが・・・・・ははっ、どうしてもっと早く知る事が出来なかったんだろ。』 知ってたら・・・・もっと早く知る事が出来たら、里の人々に『九尾を憎まないで』と言えたのに。 そう涙を流しながら力なく微笑んだナルトに葛葉は絶句した。 「それ見てたらね・・。今まで自分の腹に溜まってたドロドロしたものが、全部消えていく感じがしてね」 今まで自分を苦しめてきた相手のために、涙を流すその姿。 「この里にあるのは・・・・・・もう、絶望と裏切りだけではない筈よね?」 葛葉はじっと綱手の眼を見据え 「しっかり・・・見物させてもらうからね」 「ふ・・・上等だね」 不適な笑みを返し、綱手は拳を差し出す。 その拳にコンと鼻面を当てると 「オッケー、同盟成立ね」 そう言って彼女は姿を消した。 ** ふと、ヒナタは立ち止まる。 「ヒナタ様?」 それをネジは怪訝そうな表情を浮かべて同じように立ち止まった。 「ネジ兄さんは・・・知ってたの?」 それが何のことがすぐに分かり、ネジは顔を強張らせた。 そう。 先程の葛葉の話に若い世代・・・・自分を含む同期達は驚いた表情をしていた。 だが、その場にいたネジは大して驚いた様子も無かったのである。 「ええ・・・・上忍になった時に・・・・・これからはお互い任務で一緒になるだろうから知らないと困るだろうって・・・・」 「・・・・ネジ兄さんは・・・・」 その時ナルトをどう思ったのか。 言葉ではなく視線で問いかける。 「正体とか・・・九尾とかは関係なく、ナルトはナルトですから」 少しはにかんだ様な笑み。 「・・・・・そう、だね」 「さあ、ここからはヒナタ様だけで行ったほうがよろしいでしょう」 「うん、そうだね。ネジ兄さん!!」 そのまま立ち去ろうとしたネジをヒナタは大声で呼び止める。 「ネジ兄さんがナルト君の相棒で良かったv」 本当に良かった。 この人が大好きなあの人の仲間で。 いつもそばにいる人があの人で。 そう言うと、ネジは照れたようで顔を赤くしていた。 そして走り去ったヒナタの背中に向かって小さく呟く。 「・・・・あいつが相棒で救われたのは・・・・・俺の方ですよ」 ***おまけSS NARUTO第60話にて 中忍試験中 子ども時代のナルト(以下子ナルト)「さぁ!!魚を焼くってばよ!!」 串に取ってきた魚を刺そうとする子ナルト ???「ストーップ!!!!」 7班3人『!!??』 突如謎の青年が出現!! 子ナルト「誰だってばよ!?」 子供時代のサスケ(以下子サスケ)「何者だ!?」 子供時代のサクラ(以下子サクラ)「誰!?(きゃー結構美形じゃない、しゃーんなろー!!)」 謎の青年「まぁ俺が誰かって事はどうでもよいとして」 子サスケ「よくないんだが・・・」 謎の青年「今君たちはそのまま魚を焼こうとしたね?」 子サスケ「無視しやがった・・・・・(怒)」 子サクラ「そうですけど・・・・ソレが何か?(どきどき)」 謎の青年「魚なんてそのまま焼いたら臭いや煙がたって敵や獣に補足されるじゃないか。それでもいいのか?」 7班3人『あ゛』←考えて無かった 謎の青年「そういやこの頃のカカシ先生って碌なサバイバル料理も教えてくれなかったんだよな。お陰で中忍になっても一苦労だったし・・・・くそ、思い出したら何か腹立ってきたってばよ」←とっても小声 7班3人「???」 謎の青年「はっ(我に返る)あ、だからそのまま焼くのは拙いんだよ」 子ナルト「じゃあどうすればいいんだってばよ?」 謎の青年「じゃあちっさいサスケ君、火を熾せるかい?」 子サスケ「な!ちっさ・・・」←小さいと言われた事がないので免疫がない 謎の青年「お・こ・せ・る・かい?」←有無を言わせない笑顔 子サスケ「・・・・・・・・はい」←押されて豪火球の術を使う。 子サクラ「この後どうすればいいんですか?」 謎の青年「魚を川岸によくある泥か粘土で包んで火の中に入れる。こうすると魚の焼ける臭いが立たないんだ」 試してみる三人 子サスケ「なるほど、こうすると魚の焼ける臭いも煙も立たない上に蒸し焼きになって焦げないんだ」 謎の青年「鱗をとる必要も無いんだ。土を剥がすとき、一緒になって取れるからね。フランス料理の蒸し焼き料理の原理だよ」 子サクラ「ありがとうございます。勉強になりました〜」 謎の青年「いやいや。じゃぁねv」 眼にも止まらない速さで去っていく青年 子ナルト「そういえば・・・結局あの人誰だったんだってばよ?」 子サスケ「・・・・・・・・・」 子サクラ「まぁ、気にしない方向性で行きましょ(汗)」 第61話にて カブト「移動しながら話そう。焚火の煙や焼き魚の臭いが・・・・?」 子ナルト「焼き魚なら臭ってないってばよ?」 子サクラ「ちゃんと臭わない様に調理しましたもんね〜」←何故か得意げ 子サスケ「・・・・・・ふん」 カブト「そ、そうかい(汗)」 再び時間軸は未来へ サスケ「ナルト?どこ行ってたんだ?」 ナルト「ちょっと昔の自分とお前に教育的指導をね・・・・」 サスケ「?????????」 あとがき ホントに冗談抜きでおまけのネタが尽きてきた今日この頃。 はっきり言って今回はやめようかな・・・と思ったのですが、こんな駄文でも楽しみにされてるようなので、かなり苦し紛れなネタを乗っけてしまいました。 誰かネタ下さい・・・・!(切実) もし無かったら次も「ナル君のサバイバルクッキング☆」か「エキサイティング!鈴鹿ちゃんの怖〜い火器講座☆」になっちゃいますけど(汗) ・・・・・・どっちにしよう? ちなみに本編がOPのナルト紹介に書かれていた『ある事件』です。 |
KUROKUさんからいただきました!第6話。
綱手様かっこいい…!
まずこの一言。(笑)
九尾側の木の葉の里を襲った経緯について理解し、
自分たちの罪を認め、
さらに、里人たちの苦しみも汲んだ行動。
すごいことですよね。
さすが里のトップ!
九尾事件に関する様々なゴタゴタがなんとか解決してよかったです。
ナルトも無事もはっきりわかりましたね。
よかったね!ヒナタ!
…次回はラブラブナルヒナからスタートですか!?
再会の場所が思い出たっぷりな「秘密の場所」ですし、
盛り上がらないわけがないでしょう!
オマケSS
今回はいつもとはちょっと違った感じでしたね。
面白かったです。
なんだかやっぱりカカシとサスケは微妙な扱いですけど(笑)
ヘタレ師弟か…。
鈴鹿からだけでなく、ナルトからもいじめられるサスケって……(笑)。
いじめられるとはちょっと違うか…?
2004/5/3