疾風の如く天駆ける、妖、鳥の如く風を切り、蝶の如く舞い降りる。


その姿、雪の如し

その姿、氷の如し




***儚く強き雪の聖女





「おい!?大丈夫か!?」


突如先を進む自分たちの前に飛び出してきた男は紅く、血塗れだった。

ネジは慌てて駆け寄るもザックリと肩から腹に掛けて鋭い物で裂かれた傷が見える。


・・・・・・・・致命傷だ。

誰にでも分かる。

それ程深い傷だった。

「う・・・・・・木の葉の人間か・・・・・」

男は自分の額宛を見て即座に判断したようだった。

もう、目も霞んできているようだったが、冷静な思考は無くしていないらしい。


喋らせるまいか迷ったが、どうせ治療しても間に合わず死んでしまう事は明白だった。

ならばこのまま言いたい事を言わせてやろう。




「我々は火影様の命で、この付近の異常を調べに来たんだ。・・・・・何があった?」



男の額宛と格好から、雪の里の忍だという事は分かった。

何故その人間が自らの里の近くで血だらけに・・・?






「音に・・・・音の里に攻め込まれた・・・・・」



「音に!?」


大蛇丸―――――!!!





ネジの脳裏に細目の厭らしい笑みを浮かべた男の顔がよぎる。





嘗て木の葉崩しによって自分の故郷を壊滅寸前まで追い込み。


仲間を唆して里抜けをさせた上。

その仲間を取り戻すため、自分を含め、多くの仲間が中々癒えぬ傷を負った。

その大蛇丸がここで一体何を・・・・・?





「音の連中・・・・・長を殺しただけではなく・・・里の中枢システムを乗っ取った・・・」


「中枢システム?」

「魑魅魍魎の本能に働きかけ、妖怪が里に近づかないようにする結界陣だ・・・・頼む!早くこの事を他の里に知らせてくれっ!アレを奴らに完全に使いこなされたら・・・・ごふっ」


血塊を吐き出し、大きく身体を震わせると・・・・・・それきり彼は動かないくなった。



「隊長、どうするんですか?」


フタバは流石に真剣な面持ちで聞いてくる。


「一旦木の葉に戻って報告する。大蛇丸が関わっている以上、そう易々と近づけはしないだろう」


「了解ッス」





ふと


ネジは違和感を覚えた。


男は大蛇丸が乗っ取ったシステムは魑魅魍魎の本能に働きかけるものだと言った。

つまり、それは奴らの行動をある程度制御できると言う事・・・・


即ち



「クスハ!!ふせろ!!」


やろうと思えば低位の妖怪位ならを操れるという事。



妖魔の鋭い爪が襲い掛かってきた、それを視認する前に部下に警告を発し、自分も慌てて伏せる。




見れば部下たちも驚くべき身体能力で魔物の攻撃を避けている。



さすが



「危機回避能力だけなら上忍なみ」と担当教官にお墨付きを貰っただけのことはある


ネジは刀を取り出し、妖怪と正面から睨みあった

「三人とも、俺の言う事をよく聞けよ」

「・・・・隊長?」

それは低位妖怪というには些か無理があるような巨大生物だった

「・・・・・・・・・・・さっきのウサギさんの親でしょうか?」

「そんな事言っているバヤイか!!?」


全長約2m、皮膚病の犬のようにまだらになった白い毛の下に、びっしりと頑丈そうな鱗が並んでいる。

長く伸びた顔。

紅く光る目が不気味で妖しい。

退化して、鉤爪以外の指がなくなっている手――――そして一応、耳だけはウサギの耳。



「・・・・・・・・ではここは笑う所なのでしょうか?」


駄目だ。いいか、お前達は足が速い、これから真っ直ぐに木の葉に走って火影様に報告をしろ」

「・・・・・隊長は?」


「残って時間を稼ぐ」


「無茶ですよ!?一人であんな大きな生き物を・・・・」



ぎょろり、と妖怪の目がこちらを向く。


「さっき白眼で周囲を探索した・・・・音忍達がこちらに向かっている。俺たちがいることに気がつかれたら厄介だ。俺一人なら敵の位置を把握しながら隠れる事が出来る。」

「でも・・・・」


「隊長命令だ」


「・・・・・分かりました」


クスハはおとなしく頷き、フタバは渋々といった風で未だごねるチヨカを引っ張っていった。










「さてと・・・・・・・」


ネジは白眼を全開にし、凄みのある笑みで刀を構えなおした。


「伊達に日向始まって以来の天才とは呼ばれてはいないぞ。白眼の真の力をごらんあれ」













暗い。

暗い闇の中。




「大蛇丸様」

振返るとそこには自分の・・・・忠実なんだか何を考えているんだか良く分からない腹心の部下。

「雪隠れの制圧、8割方完了いたしました。」

「8割方、という事はまだ完全というわけではないという事ね、カブト?」

「はい。僅かな連中が『外』に知らせに行くためか、逃げ出そうとしていました。まあ、これは追っ手を多数差し向けましたので直に捕まるでしょう」

「そう、ご苦労様」

大蛇丸は労いの言葉を掛けた後、暫し視線を虚空にさ迷わせた。

「そういえば、奴の娘はどうしているの?」

「あの少女ですか?最初は強情にダンマリを決め込んでいたようでしたが、父親が死んだと知ると里人や忍達の生命保障を条件にこちらに協力する事を承諾してくれました。」

「ふふふふふふふふ。流石に若くともあの雪蛾の娘。為政者の器たりえたという訳ね。いいわ、保障すると彼女に伝えて頂戴。だけど中央政治は我々音が取るとハッキリと明言して頂戴ね」

大蛇丸は不気味な笑みを浮かべて唇を舐めた。

「あの娘の力は絶対に手に入れておきたいのよ・・・その為にこんなちんまりとした里に大量の戦力を割いたんですからねぇ・・・・・」

それは、絶対的な破魔の技術を誇っていた雪の里が完全に闇に憑かれた男、大蛇丸に落とされた瞬間であった。





私一人の罪ならそれでいいのです


元々長などというものは里の為の贄なのですから・・・・







「くそっ・・・・・」

油断した

何とか倒したと思った。

だが倒れる前に妖怪の鋭い爪は自分の肩を深く切り裂いた。

血を垂らさないようきつく縛って逃げたから気づかれていないと思う。

音忍達が追ってくる気配もない

だが、ここまで移動すると、体から血液が失われていくことは否めない。

このような雪山で体温を失う事は正に命取りだった。

眼も霞んでくる。

(今度は俺か・・・・・・・)

数奇な運命だと思う。

以前同じように親友が任務途中で行方不明になった。

だが、自分はナルトと同じように戻ってこれるのだろうか。


せめて部下達が無事に帰っているといい。

そう思いながらネジの意識は暗闇の中に沈んだ。

ガサリ

近くの茂みが大きくゆれたことにも気づかずに













「雪音様、雪音様〜!!」

ドタドタと大きな音を立てて、中忍のベストを着込んだ若い男が庭の一角に駆け寄っていく。

そこは大きな庭園だった。


冬国らしく、小さな花が可愛らしく、自己主張せず、お互いを盛り立てて咲いている。

そこに彼の主がいた。

父を殺され、政権を奪われ、放逐された主が。

「どうなさいました?」


もう既に読み終わっていただろう本から顔を上げ、小首を傾げながら儚く微笑む。


それは聖女の微笑であった。


静かなる、生命いきづきし雪の里。

その里、その名のごとく司るは氷と破邪の力なり。


その里、雪のごとく澄み渡り、強き意志が汚れた力を打ち砕く。

あな忘るるなかれ。汝らは水結晶の子なり。


静かなる雪の心を忘るるなかれ。










*****おまけSS



綱手「里の婦人会から変質者対策の依頼が出た。とゆーわけで、さっそく変態撃滅グッズを作ってくれv」


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鈴鹿「とゆーわけで早速作ってみました」

シカマル「火影さまも唐突だと思ったけど・・・・・お前も負けず劣らず唐突だな」

鈴鹿「仕事ですから(真顔)」

シカマル「さよか・・・ってコレどー見てもタマゴにしか見えんのだが・・・・・・?」


鈴鹿「タマゴのカラに目潰しの原料((山椒、胡椒、梅媒、唐辛子、鉄粉、亜鉛、焔硝)by落乱)を入れて見ました。直撃すれば暫くは鼻も目も使い物にならないかと」

シカマル「ほー(想像しただけで涙出そうだな)」


鈴鹿「最初は大変でした・・・・・・秋道さんに中身を食べてくれるように頼んだのですが・・・・・・・」


シカマル「?」


鈴鹿「あの人全部ゆで卵にしてしまって・・・・・・(遠い目)」


シカマル「あーーもしかしてカラがバラバラで使い物にならなかったとか?」

鈴鹿「・・・・・・・・・・・・・(無言の肯定)」

シカマル「・・・・・・・すまん(ポン)」←肩を叩いた。


鈴鹿「いいえ・・・・・・・」←色々思い出したらしい


シカマル「でーこれはただ投げればいいのか?(ブンッ)」←広いからいいだろうと思ってよく見ずに投げる

鈴鹿「あ、奈良上忍・・・・・・あちらには・・・・・」

ぐしゃ(タマゴが割れた音)

ボフッ(中身が飛び散った音)

シカマル「・・・・・・・・・」

?????「・・・・・・・」

鈴鹿「うちは上忍が・・・・・・・」←(間に合わなかった)


サスケ「でめぇええええ;;;;・・・・・シカマルいい度胸してんじゃねぇかっぁぁぁっぁ#######(怒怒怒怒怒怒怒怒)#######」


シカマル「さ、サスケ?お前なんか目つきヤバイっつーか写輪眼グルグルでめちゃコワイっつーか殺気がもの凄いんデスケドっつーか鼻水と涙で女の子が泣いて逃げそうな顔してるっつーか普段鈴鹿に直接当たるのがコワイからってその鬱憤を俺で晴らすなぁああああああああ!!!!(逃走)」


サスケ「ゴラ待でええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇ・・・・(生理的涙とエコー付き)」



それから・・・・・・

かつてのサスケ里抜け事件の時以上の

死闘と惨劇と・・・・


身の毛もよだつデットヒートが行われたと言う・・・・・・


鈴鹿「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


ひゅぉぉぉぉぉぉぉ・・・・・←風


鈴鹿「ま、いいか」


いいんすか!?





***あとがき
シリアスか?

ちょっぴりはシリアスなのか?と自問自答しつつ終了

ようやく長い前フリしまくったネジの運命の人登場です。
っつっても名前とセリフ一個だけですがね





後編1話へ   後編3話へ

KUROKUさんからいただきました!
後編第2話。
宣言どおりシリアスに突入でしたね。
コメディ要素もちゃんと残ってて嬉しい限りでした。

なんと今回の悪役が大蛇丸様とは…!
びっくりしました!
オロティー相手だと一波乱も二波乱もありそうですが、続きがとっても楽しみですvv

そしてネジの運命の人も登場したということで、そちらもとっても気になります><


2005/4/1