天女がいたと思った。


ああ、自分は死んでしまったのかと一瞬思った。

それが生きていると認識できたのは、額に当たる彼女の手がひんやりと気持ちよく、自分は生きているのだと実感できたからだ。




「おはようございます。ご気分は如何ですか?」



鈴のように震える声だった。





****動き出す時よ



「直ぐに捜索隊を編成するべきです!!」

火影の執務机を叩いて、必死の形相でナルトは綱手に詰め寄った。

「落ち着け、ナルト、お前が慌てたところで状況は何も変わらない」

「でも・・・・・!」


「それに正直人手が足りない。直ぐには無理だ」

「なら俺が・・・・・!」


バン!!

ナルトが叩いたときよりも遥かに大きな音を執務机は綱手の手によって立てられた。


「みっともなくうろたえるな!火影になるんだろう!?お前は未来の6代目なんだぞ!!」



「ばあちゃん・・・・・・」


「ネジは大丈夫だ。隊員たちの報告から考えると、巧く逃げられると思うぞ。それにお前の親友はそう簡単に捕まるような間抜けではないはずだろう?」

「うん・・・・・・・」


「ソレより問題はこちらの方だ。」


ようやく落ち着いたナルトを座らせながら、綱手は再び椅子に深く腰掛ける。


そして溜息をつきながら今現在もっとも頭を悩ませている事をナルトに知らせた。

「問題?」

「私達はネジはまだ敵の手に落ちていないと信じている。だがそうは考えない人間がいるという事だ。」


「どういうこと?」


綱手の言いたいことが分からず、ナルトは小首を傾げた。


「忘れたか?ネジは日向分家の人間だぞ?」

「あ・・・・・・・・・・・・・・」


ようやく分かった。



日向一族

それは木の葉でもっとも古い流れを汲む一族であり、最強の一族でもある。

彼らはその血と血継限界である白眼の秘密を守るため、「鉄の掟」で自分一族全体を統率していた。その「鉄の掟」によって彼らは宗家と分家にわかれ、その待遇は徹底的に差別され、しかもそれを不満に思った場合の反逆、または里からの逃亡を防ぐために分家の人間には幼いときから額に呪印を刻まれている。

その呪印によって、分家の人間は己の生死さえ、宗主に握られているのである。


ナルトは思い出す

初の中忍試験本戦の際に見せられた彼のおぞましき「卍」を。

「分家の人間は死ぬと同時に呪印が発動し、白眼が封印される。だがもし、生きたまま大蛇丸の手にでも落ちたとしたら・・・・・・・」



例え、大蛇丸でなくとも向こうにとってみれば思わぬ拾い物。

生きたまま眼の秘密を調べる方法くらいいくらでもあるのだ。



「まさか・・・・・・」


「宗主に『死の呪印』を発動させようと考えている者たちがいる」



「そんな!!」

予想したくなかった。だが予測してしまった通りの非情な答えにナルトは再び立ち上がった。



「そりゃ、ネジは昔は宗家の事恨んでたし、ヒナタに酷いことして危険だったかもしれないけど、今は・・・・・・!それにまだ捕まったなんて・・・・・!」


白眼の秘密=木の葉の機密を守る為ならそれが最も効率の良い手法である。

それは分かっている。


頭では納得しているのだ。

それが分らないほどナルトは馬鹿ではない。


だが、感情が追いつかない。


「個人の意思云々はこの際関係ない。最も重要なのは白眼の秘密が漏れるか否かということだ。」


「そんな・・・・・・」



「今は火影権限で牽制しているし、ヒナタも親族会議に出席してくれているがいつまで持つかどうか・・・・・ヒアシが決断してしまったらそれまでだからな。」





「・・・・・・・・・・・・・・失礼します。」



握り締めた拳から血が滲んでいるのを必死で隠して、ナルトは建物から外へでた。






空を見上げると、風が吹いた。



木の葉の匂いに混じって・・・・・雪の里の香りが混じったような錯覚を受けた。



「・・・・・・ネジ、無事でいろよ」










*******おまけSS


中忍A「ナルトさああああん!!!」

ナルト「どうしたってばよ・・・・血相変えて・・・・(モギュモギュ)」

中忍A「呑気に団子食って茶ぁ啜ってる場合ですか!?うちは上忍が『また』黒金特別上忍に殺されかけてますよ!?」


ナルト「あちゃー、またかー。勉強してないなーサスケも。あととりあえずこれでも呑んで落ち着け」←お茶(今まで呑んでた奴)を差し出す

中忍A「ごぎゅ!!ぜぇ・・はぁ・・ひぃ・・(落ち着いた)勉強といいますと?」

ナルト「昔ッから俺もサスケも不用意な発言が多かったからな。俺の場合はサクラちゃんや綱手の婆ちゃんにさんざんボコられまくったお陰でいい加減学習したけどサスケは顔のお陰でそんな機会もなかったし」



中忍A「はあ、それで勉強」



ナルト「それに鈴鹿は好きなタイプには割と好意的だけど、嫌いなタイプには容赦ないからなー。今までサスケの周りには容赦なくアイツをボコるような女の子はいなかったから・・・・免疫なし!!・・・不幸だよなぁ・・・・」









サスケ「ちょっと待て!!それだけかぁ!?」


鈴鹿「どこ行くんですか〜?うちは上忍〜?」


サスケ「ぎゃあああああああ!!ナルト呑気に茶ぁ啜ってねーで助けろ!!!」


ナルト「俺知―らないv」



どっごおおおおおん






中忍A「・・・・・・・・ところで黒金特別上忍(長い)の嫌いなタイプがうちは上忍だとしたら好きなタイプというのは?」


ナルト「・・・・・・・」←黙って指差す


中忍A「?」




リー「あ、鈴鹿さーん、丁度いい所で会いました!ここのお団子美味しいと評判なんですよ!一緒に食べましょう!」



鈴鹿「(クルッ)はーいv」


ナルト「な?」

中忍A「なるほど・・・・・(納得)」






その頃



「がふっ・・・・(吐血)この扱いの差は何だ・・・・・?」←忘れ去られた男






***あとがき
「その頃木の葉は」って感じで・・・ってこれじゃあナルトパターンと一緒じゃねぇか。





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KUROKUさんからいただきました!
後編第3話。
色々とお忙しい中ありがとうございました!

ネジの運命の人登場!なんてちょっと浮かれてましたが!
私、すっかり日向の掟の存在を忘れてましたよ!?
なんてこった!
掟が何だ!
仲間を大事にしないやつは掟を破るヤツ以上のクズなんだぞ!by.カカシ先生
はい。
ナルトと同じく、ネジ好きーによる、感情が追いつかないヤツの意見でした。
理論派さんたちに頑張って対抗していただきたいものです。

おまけSSは相変わらずわらえますね〜。
サスケは『若い時の苦労は買ってでもしておけ』っていう格言?の買わなかった人生を体現しているようですね(笑)
苦労をまったくしてないとはいいませんが、コミュニケーションスキル低すぎです(きっぱり)。

続き、楽しみにしていますね〜vvv


2005/9/3