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(C)2003
Somekawa & vafirs

居心地のいい場所 

nikolin

 金沢を離れて16年。
転勤族と一緒になったのだから当然なのだが、以来私と夫 にとってロブロイは遠きにありて思ふもの、となってしまった。 最近ロブロイに顔を出したのは昨年の夏。 だが、その前となると・・・確か10年ほど前?

 金沢時代、土曜日はロブロイの日であった。マスターの顔を 見ないとその週が終わらない。まさに“通っていた”のである。 たまに行けないことがあると、翌週マスターに「無断欠勤・・・」 と言われてしまう始末。(勤めてないって。)

 最高の酒のつまみは、カウンター越しの会話だった。
その昔、カウンターの中はマスターだけではなかった。素敵な 女性がいたのである。つまり、つまみは二種。どちらも甲乙つ けがたい魅力溢れるつまみ。

 その彼女が、パズル・クイズの類が好きな私同様、パズル好 きと聞いた時には嬉しかった。  <某パズル誌、○コリがお勧めよ!!>と言うと、 次に行った時にはしっかりカウンターの中に○コリが隠してあ ったのである。

その頃、金沢で○コリを置いていた本屋は確か“某書店”だけ だったにもかかわらず・・・(が、私は見たことがなかった) きっと出版社に直接定期購読を申し込んだに違いない。 言わずと知れたマスターの奥方である。 今でも変わらずやっているのだろうか、○コリ・・・

 私はその○コリとシャーペンと消しゴムを持ってお風呂に入る。 勿論小説を持ち込むことのほうが多いが。(なんせ年4回しか 発行しないもので・・・) 半身浴にはもってこいの小道具である。

 で、久しぶりに顔を出した夜。
マスターも客を見て話を振ってくれるのだろう。本当に久しぶり だというのにいきなりクイズを出してくる。こちらはロブロイの ドアを開ける前から既に飲んでいるのである。

アルコールのまわった頭にクイズを出されても・・・いや、素面 でもなかなか難しい問題も出てくる。こちらが眉間にしわを寄せ て考えている時のマスターの嬉しそうな顔と言ったら・・・。

反対に、マスターが問題を言い終わるか終わらないうちに答えてしまった時の、 怒ったような悔しそうな顔。これがたまらない。かくしてバトルが繰り広げられ、 「この問題を解かないと帰れないー」と、夜が更けていく。

 さて、これは夫から聞いた話。
夫より3年後輩で金沢に住んでいたことのあるT氏。 東京であった時に、
 「金沢にい〜い店があるんですよ」と、いかにすばらしい店 であるかをしばし力説。

 「ほーぉ」と、感心して聞いていた夫はハタと気づいた。
 「それって、ひょっとして“ロブロイ”?」
 「えっ?!知ってるんですかぁ?」・・・知ってますとも。

単に金沢の町は狭い、ということか。いやいや、いい店はいい ということである。

 自分にとって居心地のいい店がある、というのは本当にうれし いものである。 今の生活を振り返ってみると、そんな店を持つ身分ではないの かも知れない。夜、ふらふらと出歩くわけにはいかないのだ。 あと10年もすれば、またお気に入りの店を見つけて通えるよう になるのだろうか。楽しみにしていよう。

 金沢を離れてすぐ、ロブロイのような店を探して夜の街を二人 でうろついたことがある。雰囲気がよさそう・・・と思って入って もやはり違う。なかなかこれといった店はなかった。いや、きっ とあるのだろう。ただめぐり逢えないのだ。

 もし、再び金沢勤務なんてことになったら、夫はまた毎週の ようにロブロイに通うのだろう。それも悔しいなぁ。やはり金沢 に限って単身赴任はさせられない・・・

 さて、そんな時がはたしてやってくるのだろうか。

<ロブロイストの日々>  毎・月始め更新いたします。