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(C)2003
Somekawa & vafirs

リフォーム

今我が家はリフォーム中です。
今日もその道の名人、達人の方が仕事をしておられます。

我が家の事とはいえ、素人の僕はする事がないので下の部屋で 本でも読もうと開きかけると、上の階でトントントンと釘を打つ音 がしてきます。ちょっとしたBGMです。

その内にゴトン。大工暦35年の伝さん、どうやら金槌を床に落と したようです。しばらくして 「イテーッ」
どうしたのかと思ったらクギを踏み抜いたとの事、治療してくると 言って出て行きました。

それから又しばらくすると、外の方で 「オーッ、ガタン、ウワーッ」 と、音やら声がしたと思うと、これまたこの道40年という一級塗装 師の玄さん。足場を踏み外し、頭からペンキをザブリ。笑いとも泣 いているともつかない顔で 「今日は仕事にならん」 と言いながら、帰って行きました。

やはり一級塗装師のプライドが許さないという事でしょうか。

玄さんが帰った後、すぐ横でタイルを張っていたこの道一筋45年 という左官屋の勘治さん。こぼれていたペンキに足を滑らし ツルーッ、ドテーッ、グキッ。
思いっきり腰を打ち付けました。「アイターッ」 と言いながら、シップしてくるという事で帰って行きました。

やはり、泣いているとも笑っているともつかない顔でした。

僕は部屋に戻ると、隣の間でカラオケ大好きというクロス張りの 仙さん。調子よく鼻歌まじりで、キャタツに乗り仕事をしています。 その鼻歌が 「ア〜〜ッ」に変わりました。
バランスを崩したのでしょうか。そのまま、バリバリーッ、ズボーッ、 フンガーッ。すぐ横のふすまをブチ破るといいますか、ブチ抜いて しまいました。
仙さんにケガはありませんでしたが、表具屋に持っていくと言って 出て行きました。

やれやれ、と思っているところへ二階の方で 「フンギャワーッ」 の声と同時に、チカチカチカーープツン。
と電気が切れてしまいました。電気屋の番さん、どうやらプラスと マイナスをそれぞれの手で持ったようです。ペンキ屋の玄さん、 左官屋の勘治さんほどではないにしろ、この道20年の番さんに しては、実に初歩的なミスと言えるでしょう。

電気はすぐに付きましたが、なんだか寒気がすると言って帰って いきました。

その一部始終を見ていた現場監督の藤堂さん。
とうとう職人が一人も居なくなり、こころなしか肩を落としながら 帰っていきました。

その又一部始終を見ていたウチの嫁さん。
なぜか笑い出したのです。それもいつものように、ホホホッなら よかったのですが、まるで女を忘れたかのような笑い、 ウワッハッハッハングワーッ、おもわずアゴが外れそうになるのを 僕はあわてて、押さえてやりました。

さて静かになったところで、何事もなかったように本を読み出す 僕でありました。

お・し・ま・い

<主のひとり言>  毎・月半ば更新いたします。