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(C)2003
Somekawa & vafirs

アカデミックなバーのお話し・・・?

その店は、犀川の近くにある小さなビルの2階にある小さなバーである。カラオケもなければツマミもない。 あるのは洋酒と静かに流れるアメリカンブルースだけである。いつ行ってもバーテンがひとり本を読んでいるか、 たまにギターを弾いているかどっちかである。

その静かな店もたまに12席全部埋まると、さすがにちょっと賑やかになる。 まず、バーテンを呼ぶ声もあっちこっちで様々な呼ばれ方をする。

バーテンさんに始まり、マスター、御主人、店長、もしもし、ねえねえ、おいおいコラコラ、 はてはテメー、オンドレ、ワレェ〜 ・・・・・さすがにここまではいない。

そしてあっちでヤンヤヤンヤ、こっちでコンヤやらせ、向こうでインヤやらさん、ああだこうだのワイワイガヤガヤ。 たまにはコンコンゴホゴホと聞こえるが、これは単に風邪らしい。

どこかでスイマセ〜ンとバーテンを呼ぶ声がしたと思うと横で「お前何か悪い事したのか」とか、 あっちでスイマセ〜ンタバコと言うと、「吸いますタバコ」と言え、とくる。 こっちで酒棚の方を指差しながら、ターキーって飲んだことあるかとくると、 ターキーってストライク3回続けりゃあいいんだろう。はたまた何処かでスコッチウィスキーをスコッチだけちょうだい。 とまぁカビの生えたようなシャレも飛び交っている。

そういえばその昔、お客がマッチくださ〜いと言うと、即座にカウンターの中から「ちょいマッチ」と聞こえたものだが、 さすがにここまで来るとカビもはえない。

いずれにしろこんな時、バーテンはさりげなく全体を眺めながら、この店これでいいのだろうか、 何とかもっとアカデミックなバーにできないものだろうか、と密かに考えるのだが、もともと考えることが嫌いな、 というより出来ないバーテンはそれ以上考えると、頭は痛くならないが自然にグラスに手がのび、 まあいいか、と呟きながらいつものように酒を飲み、帰ってぐっすり寝るタイプであるハヤハヤ。

さておき、そのワイワイガヤガヤの中に、私今日結婚しました、とひとりの女性がやってきた。 パーティー会場からちょっと抜け出して来たとの事。バーテンはユミちゃんと呼んでいるが、 とにかくそれは目出たいということで、皆でソレ飲めヤレ行けホイサッサとやってるうち、 1時間たち、2時間たち、やがて12時を回ろうとしている。バーテンが、花婿さんは今何処にと聞くと、 会場にはもう居ないでしょうねと言いながら、まあいいか飲んじゃえ〜。 そしてまた、おサルのカゴヤだ・・・・とやってる内、とうとう夜中の3時になってしまった。 それに気付いた彼女の「帰ろう、明日はハワイだ!」を合図に、全員めでたくお開きとなったのである。 そして平和な酒場は今日も過ぎて行った。

・・・・・まあいいか。

<主のひとり言>  毎・月半ば更新いたします。