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(C)2003
Somekawa & vafirs

金沢 BAR <主のひとり言>

忘れ物

以前にも書いたが僕は昔からラジオが好きだ。

ラジオといっても僕の場合、携帯ラジオ、トランジスターラジオの事で、ようするにポケットに入るような持ち運びの出来る、小さいラジオが好きなのである。
AMでもFMでもどっちでもよい、あの小さい中から、人の話し声や、音楽が聞こえてくればそれでいいのである。

小学生の頃になるだろうか、学校で鉱石ラジオを作った。
といっても簡単な構造で部品を組み合わせるだけだったが。
ゲルマラジオの事だが、ゲルマニウムは微弱な電気を発するらしく、電池が要らないという、実に重宝な代物であった。
ただスピーカーはなくイヤホンで聞くしかなかったが、僕にとって大変興味深い宝物であった。
多少雑音混じりではあったが、そんな事は気にならない、僕はよく聞いていた。

中学に入り、ある日親父がまともなトランジスターラジオを買ってきてくれた。
あの時ほど頑固おやじを好きになった事はない。
当時飼っていた羊を連れ、野山へ行っては羊がエサをついばむのを見ながらラジオを聞いていた。
で、そんな田舎のラジオ生活の思い出があるせいか、今でもラジオは本当に好きだ。
当然今も聴きながら書いている。

先日は車の中での事。
なかなか楽しい話、笑える話を聞いてしまったので、内容を思い出す限り書いてみよう。
番組名は忘れたが、リスナーからのメールを紹介していた。

あるコンサートがあり彼女といく事になった。
チケットを二枚買い、一枚は彼女に渡した。
ところが、コンサートに行く前に別れてしまったのだそうである。
はて?コンサートに行くか、やめるか・・・もし彼女が来ていたら気まずい。
やがてコンサートの当日になり「う〜んチケットが勿体ない、やっぱり行こう」会場へ出かけた。
席に着くと当然隣の席は空いている。
彼女は来ていない、彼はなぜかホッとした。
ところがである。
しばらくして見知らぬ女性がその席へ座ったのだそうである。
コンサートは始まったが、その女性が気になり、コンサートどころではない。
その女性はバッグを持っていたが、チラッと見る限り、見覚えがある様に思えた。
やがて見知らぬ彼女はコンサートの途中で席を立ってしまった。
トイレでも行ったのであろう、バッグは置いてある。
その間によ〜く見てみると、間違いない、それは過去に彼女にプレゼントしたものと同じ物だった。
「たぶん俺が贈った物だ・・・」
しかしトイレに立ったはずの女性は帰って来ない。
とうとうコンサートは終わってしまった。
さてどうしたものか?・・・彼はそのままそこへバッグを置いておくわけにもいかず、会場の係員へ忘れものとして届けることにした。
持ってみると意外にもずっしりと重い。
係員と事務所へ行き、中身の確認のためにバッグを開けた。
指輪や時計・ネックレスその他などがどっさり入っていた。
それを見た彼は唖然とした。
その全てがまぎれもなく、彼がそれまでにプレゼントしたものだった。

さてとこの一件、どう捉えればいいのだろうか?
元彼女にすると、別れてしまえば貰いものなど迷惑な代物、あっさりと返してしまおう、と思ったのかもしれない。
がある意味、返し方がちょっと厳しいのでは、と僕など思ってしまう・・・。
彼の立場というか、男の側にすると、今まで散々贈り物をしたとしても、別れたから返してほしい、と思うものだろうか・・・。

皆さまはいかがだろうか。
男と女、一言・二言では説明できないようです。

<主のひとり言>  毎・月半ば更新いたします。