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(C)2003
Somekawa & vafirs

金沢 BAR <主のひとり言>

逮捕されるかなあ

これまで何回か書いたが、年に何回か奥能登は珠洲からホテルを取り飲みに来てくれるMという男がいる。
たまの事である故、飲み方も徹底している。
バーボンをキープではない。
ボトルの一本買い、と言った方が正しい。
なぜならキープと言うと、次に来る時まで自分のボトルとして店に置いておく事をいう。
ところがM氏の場合、次に残す事はない。
僕もお手伝い?するのであるが、その日に一本飲みきってしまう。
よってボトルキープではなく一本買い、という事になる。
実に男気がありすっきりしてよい。
職業はというと熱血教師である。

彼は、やってくると看板まで居る。
そして僕と一緒に店を出る。
そしてもう一軒飲みに行くか、何がしか食べるかするとそのまま一緒にホテルまで行く。
すると彼は着替えもせずバタン・キューである。
僕はというとする事が無いのでバスタブにゆっくり浸かり酔いを覚ます。
バスから上がると彼の心地よい鼾(いびき)を聞きながら隣で僕も寝る。
すると部屋中に鼾の二重奏が鳴り響くはずである。
ほんの数時間もすると朝食バイキングの時間となる。
さてここで問題になるのだが、僕はどさくさにまぎれてタダ食いしている事になる。
自分で払った事はないし、彼が払っている様子もない。
ところが、つい先日の中日新聞に目を通していると、ある記事を見て腰を抜かしそうになった。
愛媛大学の准教授が宿泊していないホテルに入り「朝食バイキングを食い逃げ」したという記事である。

ほぼ原文のままである。
「北陸中日新聞・夕刊・8月19日」
------宿泊していないホテルに侵入してバイキングの朝食を食い逃げしたとして、松山東署は建造物侵入の疑いで、愛媛大学准教授Y容疑者(40)を逮捕した。
署によると、(実際は実名で載っていた)Y容疑者は松山市にあるホテルで朝食バイキング会場に入って食事。
料金を払わずに出て館内をうろついた後、立ち去るのを従業員が目撃、110番した------ということである。
ホテルに理由なく侵入したとする署によると、Y容疑者「理由がありました」と供述し、容疑を否認しているらしいのだが、仮に理由があったにしろ、 「タダ食い」してはいけないわけで、と言いたいのであるが、今の僕の場合、どうも危うい、という事になる。
今年ももう二回はある。

ところで理由であるが、僕の場合しっかり寝ているので(予約していないが)M氏という知り合いを訪ねた、という立派な理由がある。
タダ食いであるが、実際ホテルにより簡単な朝食バイキングが宿泊費に含まれている、らしい。
そのホテルだと確かに僕はタダ食い状態だったようである。
もっとも宿泊費込みというだけにたいした朝食ではない。
コーヒー、インスタントの味噌汁、おにぎり、食パンにほんの数種類の菓子パンがある程度であった。
これでは、我らビジネスマン、きょうも一日仕事頑張るぞう。という気にはなれない。
ところがここ何年か前より別なホテルになり、ビジネスホテルにしては、和洋中がしっかり揃っており、朝から結構な待遇である。
普段ホテルへ行く機会など少ない環境の僕は、彼との朝食バイキングが楽しみになった。
しかし最近その楽しみがちょっとアレッと思うようになった。
というのも以前と比べ、明らかに品数が少なくなっている。
和洋中それぞれ20種類以上あったような気がするが、最近は合わせても2〜30種類しかないような気がする。
最初は宿泊者の少ない時は品数が少ないのかな〜と思ったりもしたが、明らかに多いにもかかわらず、さして変わらない。
前回その彼と朝食バイキングを食べながら、僕が言える立場でない事を顧みず聴いてみた。
「最近品数が少ないように思うのだけど・・・」と言ってみたところ、以前とバイキング料金が違うのだそうである。
なるほどと、それなりに納得しながら、もうひとつ僕はこのままタダ食いでいいのかなあ、と言ってみたところ彼はすかさず「大丈夫、だいじょうぶ」と言いながら人懐っこい顔で笑っていた。 (どうやら密かに払っているようである)

じゃあこれからも大手を振ってタダ食いする事にしよう。
M氏に感謝、感謝である。

<主のひとり言>  毎・月半ば更新いたします。