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(C)2003
Somekawa & vafirs

金沢 BAR <主のひとり言>

「育盛」(そだちざかり)と「宇瑠虎」(ウルトラ)

先日今年度の健康診断があり、相も変わらず肝機能は丈夫で元気そうなので、まずは酔い良いであった。
が、その中に体重・身長測定があり、体重は45キロ。
減っているとはいえ、もともと太った事が無いのでよしとするとして、身長163.3センチとなっていた。
本来165.5センチあったはずだが2センチ以上も減っていた。
身長まで減るのか〜と、ちょっとさみしくなった。

僕はもともと小さいが故、ある種のアコガレなのであろうか、スポーツ観戦はというとプロレスと相撲が好きだ。
この仕事がらテレビ中継を観られる状況にあるので毎場所午後の3時より観ている。
今や我が石川県は能登穴水出身の「遠藤」(23歳)が大変な人気である。
なんせ幕下から3場所目には十両となり、いきなり14勝1敗で優勝、よって一場所で通過し幕内となり先場所(春場所)では横綱にも勝ってしまった(金星となる)。
若くて容姿も良く、取り口も小細工はしない真っ向にぶつかっていく。
これで人気が出ないわけがない。
このままいくとすぐにでも横綱まで行くのでは、と思いたいが、世の中そんなに甘くはない。
今のところ人気が先走り過ぎ、という感があり、実力はしばらくは低迷するだろうがそれで良いし、そのほうが自然だ。
いちファンとしては長い目でみよう。

ということで今回は相撲の話をしようと思うのであるが上記のような遠藤、またエジプト出身の大砂嵐のような人気・出世頭のことではない。

小兵力士の話になるが、今や名解説者「舞の海」は規定の身長170センチにほんの数センチ足りなかった。
でどうしたかというと頭のてっぺんにシリコンを埋め込んだのである。
これは有名な話である。
ただその後そんなに厳密でなくても良い、となったらしい。
事実幕内の「豊の島」など165センチしかないが活躍している。
また先場所の新弟子検査をTV中継していたが、ある力士は身長計に立つとつま先立ちしていたが、係は見て見ぬふりし「はい合格ですよ」と言っていた。
実にほほ笑ましかった。

今場所(名古屋場所)も序の口出世披露があり三名の力士が紹介されていた。
僕もその様子をTVで観ていたが、その中にまあ細身の力士がいた。
もと幕内力士「北桜」をご存じだろうか。
十両が長かっただけに印象が薄いかもしれないが本場所の土俵に上がる度「俺は土俵で死ぬ」覚悟で上がっていたという。
事実気迫みなぎる取り口であった。
しかし私生活ではというと、趣味が刺繍(ししゅう)というそのギャップが面白く、また人がらを感じたものである。
今は「式秀部屋」を持ち、弟子も何人かいる。
その式秀部屋に先の六月に入門した「育盛」(そだちざかり)という何ともユニークなしこ名を貰った力士がいる。
そのしこ名のとおり、「こりゃーもうちょっと育たないと」と思うぐらい細い。
身長は179センチとクリアするが先月の入門時体重58キロしかない。
力士でなければ「普通」である。が規定は67キロ以上である。
約半月後の七夕は7月7日新弟子検査である。
それまでに58キロを67キロにしなければならない。
とにかくまるで飲み込むようにして食べまくった。

昔の話になるが、小兵力士といえば古くは寺尾関の話も有名である。
チャンコはいつも立って食べていたそうである。
なぜなら喉元まで詰め込むので座ると出てくるのだそうである。
あとはひたすら、これぞ喉元を通り過ぎるのを待つ、のだそうである。
ともかく力士は体重が欲しい。
腹いっぱいになったら水を飲む。
そうやって胃を大きくするのだそうである。
僕らが食後にお茶やコーヒーを飲むのとは意味がちがう。

さて話をもどそう。
「育盛」(そだちざかり)であるが、いよいよ新弟子検査の日が来た。
努力の甲斐あって58キロが63キロまでなった。
がまだ4キロ足りない。
検尿検査が終わり、体重測定まで一時間半、これを利用するしかない。
まずおにぎりを4個食べ、それにうどんを2杯、豆乳を600ミリ、最後は水3リットル流し込んだ、泣きながら・・・。
その涙を流しながら食べている様子を観ていた式秀親方は、涙で体重が減るのでは、と心配したそうである。
そして体重計に乗る。
心配で目盛りなど見れない。
係は言った。
「はい67キロ、合格」とまあわざとらしい数字であるが、それがまたほほ笑ましくてよい。
厳しいなかにも優しさと思いやり、いい響きだ。

ところで式秀部屋にこれまた60キロ台の小兵先輩力士がいる。
しこ名を「宇瑠虎」(ウルトラ)という。
これまたシャレのきく親方の人がらを感じさせるユニークなしこ名である。

小兵力士というともはや歴史的横綱となりつつあるあの「白鵬」であるが入門時はあまりの線の細さにどこの部屋にも相手にされず、 もうモンゴルへ帰ろう、という時に宮城野親方が「内へ来るか」となり今に至っているわけである。

という事で式秀部屋の「育盛」(そだちざかり)と序二段の「宇瑠虎」(ウルトラ)も未来の白鵬となるかもしれない。
今後も是非注目したい。
皆さま、ぜひ応援しましょう。

<主のひとり言>  毎・月半ば更新いたします。